ことで、社会的課題を解決するなどの社会的な影響を及ぼすこと、デジタル技術によってサービスを変革することをあらわしています。医療DXについて、厚生労働省は、「保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えること」と定義しています。政府は昨年5月、自由民主党政務調査会より、「医療DX令和ビジョ化・医療情報の有効利用を推進するための提言を行いました。そして、足。内閣総理大臣を本部長に、縦割りを廃して省庁横断的にとり組む布陣となっています。「医療DX令和ビジョン2030」は、全国医療情報プラットフォームの将来像の創設、電子カルテの標準化、診療報酬改定DXの3本柱が重点項目として掲げられています。昨年10月の初会合では、この改革を、スピード感をもって取り組むための工程表の策定を、今春を目途に目指すこと。行政と関係業界が一丸となって取り組みを進めるとともに、医療情報の利活用について法制上の措置等を講ずること。本年4月以降の、マイナンバーカードを保険証として使うのに必要なオンライン被保険者資格確認の原則義務化をみすえ、医療機関や薬局以外で保険証を活用する場での浸透を視野に、補助金の活用なども検討を進めること。これらが示されています。「全国医療情報プラットフォーム」は、現在、バラバラに保存・管理されている医療関連情報を、ひとつに集約して保存・管理するための新しいシステムです。マイナポータル、各医療機関、各自治体、各介護事業者などのシステムと連携することで、国民の健康づくりの促進、医療サービスの質の向上や業務効率化、医療の安全性向上、緊急時の迅速な医療提供などに活用できるとされています。一例をあげると、1人の患者が複数の疾患にかかり、複数の病院を受診したとします。従来は、受診したそれぞれの病院で重複した検査が行われる、同じような問診をされる、やり取りが紙ベースでされるため、情報の共有がしにくく時間がかかってしまうなどの問題がありました。これをひとつに集約して保存・管理されることで、患者にとっても、人手不足や過重労働が問題になっている医療従事者にとっても、手間や時間の節約になります。重複していたコストも削減されるため、医療経済上も医療費削減につながります。迅速に情報共有ができれば、病状を的確に把握し、早期の適切な治療、重複検査や重複投薬の回避など、診察や治療の質の向上につながります。また、患者自身が自分の情報を確認できることで、健康への関心が高まり、健康増進などの効果もあるでしょう。さらに、情報の二次利用により、治療の最適化やAI医療などの新技術開発、新薬や新しい医療機器開発、大規模臨床研究への利用などが進むことも期待されています。一方で、このようなシステム活用のためには、昨今の高度化する不正アクセスなどのサイバー犯罪から防御できるセキュリティ対策が必要になります。ン2030」と題した、医療のDX厚生労働省主導でスタート「医療DX令和ビジョン2030」時間やコストを軽減する「全国医療情報プラットフォーム」2023.03 – LABO ■12「第1回医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チームの資料より疾病の発症予防被保険者資格確認特定健診カルテ情報処方情報調剤情報情報資格情報診療・治療薬剤処方診断書等の作成診療情報提供書退院時サマリ行政への届け出電子カルテ情報診療報酬地域医療研究開発請求連携診療報酬算定モジュール介護データベース公費負担医療データベースレセプト情報・特定健診等情報データベース分析NDB図表2 医療DXとはクラウドを活用した業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化オンライン資格確認マイナポータル活用電子カルテ情報の標準化等10月には「医療DX推進本部」が発医療ビッグデータ診療報酬DX等( )Medical Trendメディカル・トレンド
元のページ ../index.html#12