ですよね?」とたずねると、竹川先生の答えはとても明るかったんです。「心配するな。きちんと注射を打てば、必ず野球は続けられるから」と。緊急入院したときは、正直、「オレの人生、終わったな」と思いましたから、竹川先生の言葉には、ものすごく大きな勇気をもらいました。1型糖尿病は、生活習慣病とされる2型とは異なり、子どもや若者に発症するとされていますね。岩田 1型糖尿病について、まだまだ知られていないことが多くて……。だからこそ、これからの僕の啓発活動も大事になってくると思っています。ここで、少しだけ情報をお伝えしておきます。1型糖尿病は、約10万人に1人が発症するとされていて、生活習慣病と表現されるのは2型糖尿病です。1型糖尿病患者は、糖尿病患者全体の5パーセントいるかどうかの割合だそうです。1型糖尿病はウイルス感染などで発症するケースが多いといわれていますが、その原因は、まだはっきり解明されていないのです。僕が、「1型」と「2型」をはっきり分けて説明したいなと思っているのは、「1型」の子どもたちが誤解されて、悲しむ場面をいろいろなところで見てきたからです。僕自身も、「ええもん食べてきたんやな」とからかわれることが何度もありましたから。僕は勝ち気な性格なので、「ええもんなんて食べてませんよ」と反論できましたけど、傷つく子はたくさんいます。そんな子のためにも、僕は1型糖尿病の患者ん。高校2年の冬に1型糖尿病を発症し、野球をあきらめなければならないのではと追い詰められた日々から、プロ野球選手として全うした〝岩田稔の人生〟を、自らの言葉で語ってもらいました。﹁1型糖尿病患者の希望の星になりたい﹂﹁堂々と患者であることをアピールしたい型糖尿病の啓発活動に努めるという岩田さんにお話をうかがいました。2021年10月、阪神タイガースのユニフォームを脱いで、新たなステージへ歩み出している岩田稔さ 1型糖尿病を発症し緊急入院岩田さんは、小学1年生のときに、地―― 4予期せぬ「1型糖尿病」を発症されたので元の庭窪スポーツ少年団で野球を始め、中学では門真シニアに所属。そして大阪桐蔭高校に入学されました。その高校時代に、すね。岩田 高校2年の冬でした。状況を把握できないままに病名を告げられ、東大阪市立総合病院に緊急入院することになりました。そのときは、本当に絶望的になりました。主治医の竹川潔先生に、聞きたくないけど聞かなければならない、そんな切羽詰まった思いで、「もう、野球はできないん高校2年の冬に﹂︱、これからは身をもって1病気であることを隠さない、こそこそしない。そんなまっすぐな姿勢を示していきたい。2023.03 – LABO ■入団会見の言葉「1型糖尿病患者の希望の星になりたい」、今でも変わりません!僕の父の広美さん、3歳年上の兄と。「人を絶対に恨んだらあかん」―、忘れることのできない父の言葉ですと岩田さん
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