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女性は筋トレをしてもあまり筋肉がつかないと思っていませんか?男性と比べて筋肉が少なく、皮下脂肪が多いため、変化がわかりにくいのは確かです。しかし、同様の筋トレを行った場合の筋肉の大きくなる割合は、男女でそれほど変わりません。筋トレによる筋肥大効果を比較した研究では、男女で統計的有意差を認めないものや、有意差はあるが大きな違いはないとするものがほとんどです。女性は筋肉の合成を促す男性ホルモンのテストステロンがないため、筋肉がつきにくいとよく言われます。しかし、テストステロンは精巣だけで作られるわけではありません。実は筋肉内でも多く合成されます。ですので、必ずしも男性固有のホルモンというわけでもないのです。また、女性ホルモンのエストロゲンにも筋肉の合成促進作用があります。科学的なエビデンスとして、男女の体の生理学的な違いに基づいた女性固有の筋トレ法というのは、現状では見出されていません。女性においても男性と同様に標準的な方法で実施するのが適切と考えられます。がありますが、「大きな動作範囲でていねいに、10~20回を反復限界まで繰り返す」方法が標準的です。これを2~3セット、週に2~3回行います。ないのですが、下半身や、体幹ではそれほど差はありません。下半身の筋肉は、体重当たりでは女性のほうが大きいくらいです。毎週火曜日朝のNHK『おはよう日本の筋肉体操』のコーナーでも、堀菜保子アナ、副島萌生アナが下半身、体幹の強さを見せてくれています。女性は弱いからと決めつけず、遠慮せずに自信をもって取り組んでください。筋トレにはいろいろなテクニックなお、女性は上半身の筋肉量は少女性の筋トレといえば、お尻トレが人気です。私のおすすめはブルガリアンスクワットです。通常の両脚のスクワットよりもお尻に効きやすい種目です。また、お尻だけでなく下半身全体をくまなく鍛えられるのもメリットです。お尻は、筋肉が落ちると丸みのある桃の形から、垂れ下がったピーマンの形になります。加齢による衰えが見た目によく現れる部位です。女性だけでなく男性も鍛えて、プリっと上げておきたいですよね。女性ホルモンのエストロゲンには強い骨形成作用がありますが、前述のとおり筋肉の発達を促す作用もあります。その影響で更年期以降の女性は骨密度と同時に、筋肉も落ちやすくなります。更年期以降の女性は、強い骨と筋肉を得るためにより運動が重要になるわけです。適切な運動と同時に、大豆イソフラボンをとると効果的です。大豆イソフラボンはエストロゲンに似た作用を体に及ぼすからです。1日に、豆腐半丁、納豆1パック程度の摂取がおすすめです。更年期障害の症状緩和にもなります。筋ト少レな効い果の男女差は女性筋もト男レ性のも基本は同じおすブすルめガはリアンスクワット閉経弱後りはや骨すとい筋肉が第4回女性も筋トレでかっこよく! 2023.04 – LABO ■ お尻を上げる!「ブルガリアンスクワット」椅子に後ろの足を乗せて行うスクワットです。しっかり深くしゃがんで立ちます。浅いスクワットは浅はかなスクワットですよ。バランスをとりにくければ、壁などに手を置いて行いましょう。きつければ手で膝を押しながら立ち上がります。左右10回程度ずつが目安。お尻に効いているのがわかるはずです。負荷ダウン10谷本道哉(たにもと・みちや)運動生理学者、筋生理学者1972年、静岡県静岡市生まれ。大阪大学工学部卒、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。順天堂大学スポーツ健康科学部専任准教授。『みんなで筋肉体操』(NHK)の出演者として知られる。著書に『筋トレまるわかり大事典』(ベースボール・マガジン社)、『スポーツ科学の教科書――強くなる・うまくなる近道』(岩波書店)、『スポーツがうまくなる!! 身体の使い方、鍛え方』(マイナビ)など多数。令和医新

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