Labo_531
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0(万人)図1 認知症の人の推定人数・有病率の将来予測1400(ICD10)では、「慢性あるいは進100種類ぐらいあるといわれ、症「認知症」とは、病名ではないことをご存知でしょうか。国際疾病分類行性の脳疾患によって生じ、記憶、思考、見当識、理解、計算、学習、言語、判断など多数の高次脳機能障害からなる症候群。認知の欠損によって日常生活が阻害される場合に認知症と診断される」としています。つまり、認知症はいろいろな脳の病気によって起こる一連の症状で、日常生活に支障をきたす程度によって診断されるということです。実際に認知症を引き起こす病気は状によって軽度認知症、中等度認知症、重度認知症の3段階で診断されます。原因となる脳疾患によって、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症、前頭側頭型認知症などがあります。そのなかで患者数がいちばん多いのがアルツハイマー型認知症で、全体の6〜7割を占めます。認知症の診断は、問診などの診察に加え、口頭などで設問内容を問いかける長谷川式認知症スケールやミニメンタルステート検査などの検査Cognitive Impairment)、日本語では軽てMRI検査や脳血流SPECT(スペクMCIは、軽度認知症へと移行すが行われます。より精度の高い検査方法としト)検査など画像診断が行われることもあります。残念ながら、現在のところ認知症を回復させることはできません。できるだけ早期に発見し、進行を遅らせることが重要であると考えられています。そこで、近年、注目されているのが、認知症になる一歩手前のMCI(=度認知障害といいます。加齢にともなうもの忘れと、認知症の間の段階、認知機能の低下を実感しつつあるけれども、日常生活にとくに支障はない状態です。る割合が1年で10パーセント程度。反対にきちんと対策を行えば、す。また、国際的にもMCI段階での認知症予防効果が広く認められており、世界的な医学誌『ランセット』の論文にも、生活習慣の改善など適切な予防をすれば、認知症の発症リスクは40パーセント抑えられると発表されています。認知症からMCIに回復すること認知症の原因はいろいろ診断の基準は日常生活の阻害MCIでの発見が、QOL(生活の質)の分かれ目Mild MCIから回復する割合は1年で16〜41パーセント程度とみられていま 1200100080060040020020122015202020252030204035.030.025.020.015.010.05.00.0(%)2050206015.015.0462各年齢の認知症有病率が一定の場合の人数各年齢の認知症有病率が一定の場合の有病率17.515.515.216.751752560263167573074483080224.620.722.520.020.218.5953797各年齢の認知症有病率が上昇する場合の人数各年齢の認知症有病率が上昇する場合の有病率*「各年齢の認知症有病率が上昇する場合」は、糖尿病(認知症の危険因子)有病率が2012年から2060年までに 20%上昇すると仮定したもの「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」厚生労働省33.327.024.521.1115410168502023.04 – LABO ■12高齢化の進展とともに、認知症患者数も増加しています。推計では、65歳以上の認知症患者数は2020年に約602万人、2025年には約675万人で有病率18.5パーセント。つまり、65歳以上の5.4人に1人が認知症になるとも予測されています。認知症は早く気づいて対策するほど進行を遅らせることができること、認知症になる一歩手前のMCI(軽度認知障害)という状態があり、そこで手を打てば認知症を回避できる可能性があることがわかってきました。受けられる医療機関が全国的に増えている、わずかな血液採取でMCIを判定するスクリーニング検査を紹介します。Medical Trendメディカル・トレンド血液でMCI(軽度認知障害)のスクリーニング検査

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