Labo_531
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治療の開始が遅れると神経が傷つき痛みが長引く▼痛みが出た場所に発疹が帯状に出る▼発疹は水ぶくれになる▼後遺症が起こることがある▼ラムゼイハント症候群左右どちらか片方の側です。主に胸や背中、腕などの上半身に生じ、顔や首などに現れることもあります(5ページ、図表2)。前駆痛が数日から1週間ほど続いたのち、痛みのある場所に赤く、小さな発疹が帯状に現れます。発疹とともに現れる「急性痛」は、焼けるような痛み、締めつけられるような痛み、針を刺したときのような痛みなどと表現されます。しかし、痛みではなく、かゆみとして感じるなど、人によって異なります。発疹がなぜ帯状に出るのか、その理由は次のとおりです。神経には脳や脊髄から構成される中枢神経と、中枢神経から枝分かれして皮膚や臓器など体のすみずみまで延びていく末梢神経があります。VZウイルスはこの末梢神経の感覚神経の根元にある神経節に潜み、息を吹き返す機会を待っているのです。中枢神経から枝分かれした感覚神経は、それぞれ特定の領域を支配しています。神経節に潜んでいたウイルスはその神経の走行に沿いながら体表に向かって移動していくので、症状は神経の支配領域内に限定して広がっていきます。そのため、症状が帯状に現れるのです。ただし、まれにVZウイルスの一部が血流によって体のすみずみに運ばれ、発疹が全身に広がる場合があります。これを「汎発性帯状疱疹」といい、がんや免疫抑制薬を使用している人、免疫不全の状態にある高齢者などに起こります。「疱疹」とは水ぶくれを意味しています。水ぶくれになった発疹はやがてかさぶたになり、自然にはがれて治癒します。皮膚症状がよくなっても、痛みだけが残ることがあります。帯状疱疹を発症してから3カ月以上痛みが続く場合を「帯状疱疹後神経痛」といいます。帯状疱疹は治療の開始が遅れると神経自体が損傷され、長引く痛みのもととなります。これが前述の帯状疱疹後神経痛で、加齢とともにリスクが高くなり、50歳以上の患者さんの約2割が帯状疱疹から移行すると報告されています。軽い人では3~6カ月程度で治まりますが、重い場合は5~10年かかることもあります。図表3(5ページ)に当てはまる場合は注意しましょう。また、帯状疱疹の発症により、新たな病気(合併症)が引き起こされることもあります。顔面神経の神経節に潜んでいたVZウ(VZウイルス)に初めて感染水ぼうそうと帯状疱疹は、次のような関係になっています。感覚神経皮膚神経節ウイルス皮膚には発疹が現れ、水ぶくれになるウイルスが神経に沿って移動し、神経を刺激して炎症を起こす神経節に潜伏しているウイルスが増殖2023.04 – LABO ■4水痘・帯状疱疹ウイルス水ぼうそうを発症ウイルスの一部は死滅せず、感覚神経の神経節に潜伏する過労やストレス、加齢、がん、糖尿病、放射線照射などによって免疫力が低下潜伏していたウイルスが再活性化帯状疱疹を発症帯状疱疹のメカニズム図表1 水ぼうそうと帯状疱疹

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