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uscle 激しい運動を行うと翌日の筋肉痛が怖いですよね。筋肉痛の主な原因は、運動刺激によって筋肉に起こる微細な損傷とされます。ではなぜ、運動直後ではなく翌日や翌々日になって痛みが出るのか?傷後に起こる炎症反応に時間がかかるためです。筋肉に損傷が起こると、修復するそれは損ために炎症反応が起こります。このとき、発痛物質が産生されるため、強い痛みを生じます。発痛物質で痛みを生じ「させる」ことで、その部位の安静を促していると考えられます。運動の刺激の程度によりますが、炎症のピークは24~48時間後くらいにきます。筋肉痛は時間遅れがあることか   ら、生理学用語では「遅発性筋痛」、英語ではしてDOMS(ドムスと発音)と言います。筋肉痛は慣れない運動刺激でより強く生じます。運動不足の人が張り切って運動をすると、1週間くらい、場合によってはそれ以上、生活に支障をきたす筋肉痛が続くことがあります。また、運動をよくしていDelayed Onset of MSoreness略る人でも普段と違う運動をすると筋肉痛が強く出ます。い運動です。でも1週間以上も激しい筋肉痛とつき合う、なんて嫌ですよね。ですので、筋トレを始めるときは、最初のうちは張り切らないことが大事。最初のうちは余力を持って行い、徐々に筋トレに体を馴らしていきましょう。痛みは起こるとしても、日常生活に差し支えるほどのつらい筋肉痛は避けることができます。「筋肉痛がつらいから筋トレするのが怖いな」と案じなくても大丈夫です。くなりますから、1~2週間くらいかけて徐々に体を慣らしていきます。筋トレは、特に筋肉痛が起きやす少しずつ馴らしていけば、多少の慣れてくると筋肉痛が起こりづら最初のうちは、ていねいにフォームづくりをする時期にしましょう。これは他の運動でも同じです。ただし、負荷が軽すぎるとフォームづくりに適しません。ある程度は負荷をかけて行います。また、慣れてきてからはしっかり追い込んでください。反復できなくなるくらいまで追い込むことで、筋肉の発達がより促されます。運動後のケアによって、筋肉痛をある程度軽減できることがわかっています。運動したあとのマッサージで、痛みが軽減します。炎症性の血液マーカーが下がることも観察されています。水風呂などの冷却も、筋肉痛を和らげます。ただし、冷却による炎症反応の抑制は筋肉の発達にマイナスとなる可能性が指摘されています。炎症は筋肉の回復に必要な反応だからです。冷却はほどほどにしたほうがいいかもしれません。なお、運動後によく行われるストレッチですが、その後に起こる筋肉痛に関しては軽減効果が見られないとする報告がほとんどです。意外かもしれませんね。ただし、筋肉痛が生じているときに行うと、筋肉がほぐれて少し痛みが和らぎます。循環促進で発痛物質の除去が進むことなどが関係していそうです。激し翌い日運が動怖をいすると不 慣筋肉痛は強く起こるれな運動で最 初はフォームづくりからマ ッサージや冷却で痛みが軽減する第5回筋トレと筋肉痛 2023.05 – LABO ■10イラスト:さとうこう令和医新谷本道哉(たにもと・みちや)運動生理学者、筋生理学者1972年、静岡県静岡市生まれ。大阪大学工学部卒、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。順天堂大学スポーツ健康科学部専任准教授。『みんなで筋肉体操』(NHK)の出演者として知られる。著書に『筋トレまるわかり大事典』(ベースボール・マガジン社)、『スポーツ科学の教科書――強くなる・うまくなる近道』(岩波書店)、『スポーツがうまくなる!! 身体の使い方、鍛え方』(マイナビ)など多数。

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