Labo_532
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た際の術前検査のときのエピソー単調な空気が流れている。だから、その日もいつも通り、淡々と採血を終えるものだと思っていた。ところが、担当になった技師か否かで思い悩んでいた。「今、看護学生なんですけど、いて、辞めようか悩んでいて。でも看護師になってやりたいことがあた。するとその技師さんは、「すごこれは、私が持病の手術を受けドである。今まで何度も採血を受けてきたが、検査室の中はいつもさんが開口一番、「どうしたの?暗い顔して」とたずねてきた。ちょうどその頃、看護学生をしていた私は、体調を崩し、退学するろいろあって体調を崩してしまっるから諦めたくなくて」と答えいじゃん、何がやりたいの?」と聞いてくださったので、「小児がして、AYA世代の患者さんが孤立しないような取り組みをしたいんです」と答えた。うよ。なりたい気持ちはすごく伝わってくるけど、そこまでしんどそうだと心配だよ。このままじゃ、なる前に潰れちゃう。無理にとは言わないけど、よかったらちにおいでよ。臨床検査技師って喋らないイメージかもしれないけ話しできる」と前置きしたあと、「それに臨床検査技師って、なり手が少ないんだよ。ちょっと調べ採血が終わり、帰ろうとしたとき、「待ってるからね」と仰っての言葉に救われたと同時に、表情の感情を読み取ることを意識できる医療従事者になりたいと心に決帰宅してから、私は早速、臨床検査技師について情報収集した。臨床検査技師の仕事内容は検体検査、生理学的検査、検査試薬の在庫管理、試薬作成など業務が多岐査、呼吸機能検査、超音波検査なじ医療従事者を目指していたにも知らなかった。加えて、あるアンケート調査では、臨床検査技師に対する一般の方の知名度は30パーセントにも満たないことを知り、とても驚いた。それからしばらくして、私は看かかわれる医療従事者を目指し再ことはなかったが、あの頃の私ることができたのは紛れもなく、あのときの技師さんの言葉のおかげである。夢を叶えるための道は一つじゃないこと、待ってると言ってくださったことで一人じゃないと思えたこと、患者の感情をノンバーバルに読み取ることの重たった1回の検査の中で、たくさんの前を向くための勇気をもらった。して、より多くの人に臨床検査技師を知っていただけたらというの査室内で行われている範疇でしか護学校を退学し、病棟保育士という形で小児、AYA世代の患者に出発した。臨床検査技師を目指すが、こうして新たなスタートを切要性に気づかされた。今回この「検査がくれたもの」を通して、伝えられていない感謝の気持ちが伝わりますように。そが私の願いである。背中を押してくれてありがとうん看護に携わりたいんです。並行の頃とは大違い。でもさっきすごい顔してたから、今ほんとに辛そ臨床検査技師どう? 取ったらうど、僕みたいなのもいるんだよ。看護師とは違うけど、こうしておすると、「熱いねえ、俺の学生てみてよ」と言いながら静脈を探していた。くださった。どん底だった私はそなど非言語的な側面からも、患者めた。にわたることを知った。心電図検ども臨床検査技師の仕事であるということを初めて知ったのだ。同かかわらず、その仕事内容は、検令和4年度第23回一般公募エッセイ服部日向子(21歳/愛知県)「検査がくれたもの」入賞作品紹介優秀賞 11■ LABO – 2023.05

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