Labo_533
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図2 加齢と性ホルモン分泌の変化図3 男性と女性の更年期障害の違い(テストステロン)の低下やバランスの乱れが原因とされています。男性の更年期については、女性よりも男性のほうが知らない傾向がみられます。本調査でも、「男性にも更年期にまつわる不調があることを知っていますか?」という質問に、40代以降の女性はおよそ3〜5割が「よく知っている」と回答していますが、男性はどの年代も約1〜2割にとどまっています。テストステロンは一般的に中年以降、加齢とともに穏やかに減少します(図2)。減少の速さや度合い、時期は個人差が大きく、男性の更年期障害は、40代以降どの年代でも起こる可能性があります。男性の更年期障害は、加齢男性性腺機能低下症、またはLOH症候群とも呼ばれ、次のような症状があります。関節痛・筋肉痛、疲れやすい、発汗・ほてり、肥満・メタボリックシンドローム、頻尿イライラ、不安・パニック、うつ、不眠、興味や意欲の喪失、集中力・記憶力の低下(日本内分泌学会)ED(勃起障害)、性欲低下で6・1%。ほぼ9割の人が受診し今回の意識調査では、医療機関への受診により更年期障害と診断された人の割合は、女性は40代3・6%、50代9・1%、男性は40代1・5%、50代1・7%でした。一方、医療機関を受診したことはないが、自分で更年期を疑ったり、周囲に言われたりするなど、「更年期障害の可能性がある」と考えている人は、女性は40代28・3%、50代38・3%、男性は40代8・2%、50代医療機関の受診状況は、更年期症状を自覚している人に、医療機関受診までの期間をたずねたところ、「すぐに受診した」「1か月程度してから」「3か月程度してから」を合わせて、女性40代9・1%、50代ていません。医療機関を受診していない理由と  0しては男女とも「医療機関に行くほどのことではないと思うから」がもっとも多く、ついで女性は「我慢できるから」、男性は「特にない」の順。「医療機関を受診しても、治療や、症状の軽減ができるかどうかわからないから」「どの医療機関(診療科)を受診すればよいかわからないから」という回答もみられました。厚生労働省は、「回答者の主観がベースの調査であるため、結果は慎重に分析する必要がある」としながらも、今回の結果を参考に、研究班で医学的根拠に基づいた詳細な実態調査をする方針を示しています。 更年期に入る前にどのような情報が欲しかったかという設問では、「主な症状の内容や程度」「主な対処法」などの回答が多く、一般の知識と理解が行き渡っていないようです。民間調査では、更年期症状による不調で働けず、職場を解雇された事例なども報告されています。労働基準法に定められる「生理休暇」のような制度をはじめ、職場などでのサポート体制も検討課題です。平均寿命が90歳に近づきつつある現在、40代、50代は人生の折り返し地点です。更年期を上手に乗り越え、後半の人生を健やかに送るために、社会も、私たち一人ひとりも理解を深めるところからはじめたいものです。①身体症状②精神症状③性機能症状自覚症状があってもほとんどの人が受診しない現状更年期対策のスタートは自分の問題と知ることから男性ホルモンの低下原因とくに決まっていない(40代以降いつまでも)時期終わりがない期間★参考資料『更年期症状・障害に関する意識調査(基本集計結果)』厚生労働省、『産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2020』日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会、『加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き』日本内分泌学会・日本メンズヘルス医学会、『性ホルモンで乗り越える 男と女の更年期』関口由紀著(産業編集センター)(歳)13■ LABO – 2023.06♂男性女性ホルモンの低下11・6%、男性40代9・2%、50代♀女性閉経の前後5年(50歳前後)閉経後5年ほどで症状が落ちつく14・3%でした。男性ホルモン(テストステロン)女性ホルモン(エストロゲン)20406080Medical Trendメディカル・トレンド

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