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142023.08 – LABO ■ 感染症法上の位置づけが2類から5類に移行し、皆さんの感染対策は自然と緩和されている状況だと思います。これはある意味仕方ないことですが、ただ、今のように流行状況が悪くなってくるようであれば、マスクを着けるなど、もう少し感染対策に注意を払わなければと思います。 5類になったからもうマスクは着けなくていいと決めるのではなく、流行状況を見ながら、今はマスクを着けよう、今は人が集まるところは避けておこう、外での食事も感染が落ち着いてからにしようなどと、「めりはりをつけた感染対策」をしていくのが大事だと思います。これからのコロナとの付き合い方は、状況に応じた「めりはり」が必要になってくるのではないでしょうか。             ※ 5類に移行したからといって、コロナがなくなったわけではありません。今後は、コロナとどのように付き合っていくかが非常に重要になってくると思います。流行状況、新しい変異株など、正しい情報をしっかりアップデートし、必要に応じて感染対策を強化して、コロナとの上手い付き合い方をしていただければと思います。忽那賢志先生。取材はZOOMにて 感染者数は増加傾向 9波、10波と波は繰り返される? 今流行が起こっていること自体は、予想されていたことではあります。第8波まで流行の波が起こりましたから、ここから急に流行が起こらなくなることは考えにくいので、この波の繰り返しは必然的だと思います。ただ、その波がどれくらいの規模になるかというのは、なかなか難しいところではあります。その原因として考えられるのは、1つは今の変異株の種類の影響と、もう1つは、日本人でまだ感染したことがない人、オミクロンに対する免疫を持たない人が、まだ一定の割合でいるということだと思います。 このような流行は、まだしばらくは続くだろうと思います。流行の規模は段々と小さくなっていく可能性はあると思いますが、残念ながら、今のところそのあたりがはっきり見えてきていませんし、規模がどのくらいになるのかも読めない状況です。少なくとも波は繰り返していくだろうというのはほぼ間違いないところだと思います。 海外に比べると オミクロン感染の割合が少ない? 今の日本全体の状況を見ますと、これまでにオミクロンに感染した人が5~6割くらいで、決して少ないわけではないのですが、海外に比べると多くなかったことと、過去に感染したことがある人でも、半年ほど経つと再感染するということが重なって、今また流行が起こっていると思います。今のXBBには、オミクロンに感染した人でも感染することがありますので、そこがなかなか難しいところです。 まだまだ続くウィズコロナ? 2類から5類に移行 自分で自分を守る? これまでは、国が法律に基づいて守ってくれていましたが、これからは自分で自分を守るという方向にシフトしていくことになるでしょう。5類に移行したことで、自治体からは1週間前の感染情報しか発表されませんから、得たい情報が少し後手後手に回ってしまうかもしれませんが、できるだけ正しいデータを入手して、そのデータに基づいて自分で考え、自分で判断できるようにすることがとても大事になってくると思います。 今後、オミクロンに代わる変異株が出てくる可能性はあり続けると思いますし、大きな流行になる可能性も十分あるだろうと思います。その備えのためにも「自分で自分を守る」という考え方が必要だと思います。 新型コロナの検査 これからの進め方、在り方は? PCR検査は感度が高いので、感染者が急速に増えている状況下ではいいのですが、感染後もしばらくは陽性になり続けるという問題があります。抗原定量検査は、多少感度は落ちますが、そのような問題があまりないので、最近、病院などではこの抗原定量検査が多くなっています。PCR検査は、少し過剰に陽性者を引っ掛けてしまうことがあり得るということです。ただ、抗原定量検査では見つけられないような、ウイルス量が非常に少ない状態の感染者を見つけることはできます。どちらにもメリット、デメリットがあるということです。 場面場面によってではありますが、現在はオミクロンの感染者が増えているので、抗原定量検査のほうが使いやすい状況ではあると思います。ただ、クラスターが起こったときには、感染者を1人でも多く見つけるために、PCR検査のほうが適しています。どちらが優れているというものではなく、どういう場面でどれを使うかが大事だろうと思います。日衛協Topic感染症法上の位置づけが2類から5類に移行した新型コロナウイルス感染症。感染対策緩和の影響もあるのでしょうか、感染者数は増加傾向になっています。そこで、創立50周年記念行事で講演いただいた忽那賢志先生に、改めて「これからのコロナ」についてうかがいました。私たちはどのように付き合えばいいのかなど、先生のお話をまとめます。忽那賢志先生に聞く「COVID-19 さらなるこれから」――感染者数増加傾向の考察と対応――

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