Labo_535
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ワクします。ただ、よりワクワクするためには、用意周到な準備を怠ってはダメなのです。「面倒だ」と思いながら取り組むのではなく、準備した先にはよい結果が待っていると発想を変えると、真のワクワクが心の底から湧いてきます。これが大事なのです。しっかりとした準備をしていると、明日が待ち遠しくなるはず。そんなワクワク感でコートに立つ回数が増えれば増えるほど、必然的に成長につながります。――安里さんは、メモすることの大切さも強調されていますね。安里 試合での攻め方・守り方、日々の練習、選手の個性、何でもノートにメモります。頭に浮かんだら、すぐにメモることが重要です。「あとで」なんて言っているとすぐに忘れて、せっかくのいいものが、あっという間に消えてしまいますから。私は、枕元にもペンとノートを置いていて、夢を見たときも、目を覚まして、忘れないようにそこでメモります。これまでの経験で、夢にまで出てくるのは、いいことが多いので、そのチャンスを逃さず、メモしまくります(笑)。このメモのおかげでいろいろな発想が生まれ、準備ができて、ワクワクしてコートに立てていると思っています。このワクワク感を自分の心の中に生じさせて、常に更新していけるかどうかが、指導者の勝負所かもしれません。教員を定年退職後、現在でもコザ高校、普天間高校、前原高校(うるま市)などで指導を続けていらっしゃいます。指導者は現役続行中ですね。安里 私はバスケットが大好きですから、バスケットの指導を続けるという情熱は、まだまだあふれています。チームづくりは人づくりでもあるので、そこが無性に好きなのです。たくさんのお金があって、優雅な世界旅行をすすめられても、私はボランティアでいいので、バスケットを教えるほうを選びたい。そのほうがずっと幸せを感じることができます。――高校での指導では、生徒と一緒に走っていらっしゃるとか。安里 もちろんです、座ってなんていませんよ。口だけで指導するのは、安里流ではないですからね。もうすぐ70歳になりますが、集中しているからでしょうか、結構走れるし、実際に動いて、細かいプレーを見せることもできます。ただ、家に帰ると、筋肉に痛みが出たりして……。妻には「また少し無理してしまいましたか」なんて言われて、心の中で「余計なお世話」って叫んでいます(笑)。痛いところが出ても、教えるって本当に楽しいですよ。――長く指導者をされている中で、今の若い選手との向き合い方は、年とともに変わってきましたか。安里 基本的には変わっていませんが……。ただ、かつての教え子たちは「安里先生、すごく丸くなったよね。怒り方がソフトになった」「僕なんか怖くて、まともに先生の顔が見られなかったもんな」「僕たちのちょっとした仕草も見逃さないし、観察眼がハンパなかったね」なんて言います。やはり、年を重ねるごとに、少しずつ穏やかになってきているのかもしれません。それでも、勝ちたい、いいチームをつくりたいという気持ちは、今でも変わることなく持ち続けています。今は、選手たちと向き合う時間をできる   ― 6だけ密にして、それぞれの選手の短所を消すことに注力するのではなく、長所を伸ばす、そんなチームづくりをしていくように努めています。――安里さんは、チームづくりは人づくりでもあるとおっしゃっています。人の最2014年に定年退職指導者としての情熱は右肩上がり夫婦はチーム勝利を得るためにリスペクトし合う『スラムダンク』とジョイントしたポスター定年退職時に選手から贈られた動画のトップページ表彰を受ける1978年、全国高校総体3位となり「辺土名旋風」を巻き起こしたときの新聞報道2023.08 – LABO■

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