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142023.09 – LABO ■世界の認知症患者は2019年時点で5,500万人ほどといわれており、今後も増加することが予測されています。認知症は病名ではなく、認識する、記憶する、判断するといった力が障害を受け、社会生活に支障をきたす状態をいい、この状態を引き起こす原因のひとつがアルツハイマー病です。現在日本では、アルツハイマー病は認知症を引き起こす原因のうちもっとも割合の高い疾患で、その割合は6割以上といわれています。認知症は発症のメカニズムがはっきりしないため、これまで薬の開発は難航してきましたが、患者の前途に光明を投げかける特効薬がアメリカで承認されました。アメリカのFDA(食品医薬品局)が7月6日に承認したのは、日本の製薬大手「エーザイ」とアメリカの「バイオジェン」が共同で開発を進めてきたアルツハイマー病の新しい治療薬「レカネマブ」です。FDAは承認の理由について、臨床試験のデータによって「患者への安全性と有効性が確認できた」と説明しています。「レカネマブ」は、脳内にたまるアルツハイマー病の原因とされる「アミロイドβ」という異常なたんぱく質を取り除き、症状の進行を抑えることが期待されている薬で、通院して点滴を受けます。認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と、軽度認知症の人を対象に行った臨床試験(治験)では、この薬を18カ月使用すると、偽薬を使用した人と比較して症状の悪化が27パーセント抑えられるという結果が出ています。一方で、脳内の浮腫や微小出血などの副作用も報告されています。そして8月21日、厚生労働省の専門部会はこの新しい治療薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」の国内での製造販売承認を了承しました。専門部会の了承を受けて、厚生労働省は近日中に正式承認することになります。気になるコトバ―アルツハイマー病の新治療薬が日本でも正式承認へ【 レカネマブ 】

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