Labo_536
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膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染が起こると、膀胱の知覚神経が刺激されて頻尿になります。膀胱・尿道に異常がなく、尿量にも問題がないにもかかわらず、気になって何回もトイレに行ってしまう状態です。多くの場合、夜間頻尿はなく、起床時の排尿量は正常です。尿トラブルのなかで最も多い「夜間頻尿」には、次のような原因があります。前述の「多尿」を招く原因のほかに、抗利尿ホルモンの減少があげられます。睡眠中は抗利尿ホルモンが分泌され、睡眠を妨げないように尿量が調整されているのですが、抗利尿ホルモンの分泌量は加齢にともなって減少するため、夜間の尿量が増加します。膀胱にためられる尿量が少なくなって、膀胱が敏感になるために起こります。主な原因は、「過活動膀胱」「前立腺肥大症」「間質性膀胱炎・膀胱痛症候群」「骨盤臓器脱」などです。間質性膀胱炎・膀胱痛症候群は、ストレスや体質などから膀胱の粘膜が障害さゅう流り性せい尿失禁」は男性に多くみられます。れ、炎症によって慢性的に下腹部痛や頻尿が生じる病気です。骨盤臓器脱は、骨盤底筋群のゆるみによって膀胱や直腸、子宮が垂れ下がり、膣から外に飛び出る症状で、中高年の女性に多くみられます。これらの蓄尿障害が原因であれば、多くの場合、昼間にも頻尿の症状が現れます。眠りが浅くなると、トイレに行きたくなって目が覚めたと錯覚するため、夜間頻尿になることがあります。睡眠中に無呼吸や低呼吸になる睡眠時無呼吸症候群は、睡眠障害を起こす代表的な病気です。尿もれは、自分の意思とは関係なく尿がもれてしまう症状で、最も多い原因は認知機能や運動機能の問題によるものです。一方、それらの問題がない場合の主な尿もれには、せきやくしゃみをしたり、重いものを持ち上げたりしてお腹に力が入ったときに不意に起こる「腹圧性尿失禁」、尿意をがまんできずに尿がもれてしまう「切迫性尿失禁」があり、閉経後の女性に多くみられます。また、尿が出にくく、少しずつもれ出てしまう「溢いつ尿もれの約8割を占める腹圧性尿失禁の主な原因は、妊娠・出産、女性ホルモ▼尿路感染・炎症▼心因性夜間頻尿を招く原因は加齢をはじめ数多くある▼夜間多尿▼蓄尿障害▼睡眠障害尿もれは閉経後の女性に多く腹圧性尿失禁が約8割5■ LABO – 2023.09排尿日誌はインターネットなどでも入手できます。尿量は市販の計量カップなどを使って測ります。初診時に日誌を持参する場合は、2〜3日分を。その後は医師の指示に従ってください。「排尿日誌」の一例です。排尿した時間、尿量、切迫感や尿もれの有無、起床・就寝時刻を記入します。水分摂取量を記入するものもあります。前立腺は尿道の根もとをぐるりと取り囲んでいます。肥大した前立腺が尿道を圧迫し、尿道が狭くなると、頻尿や残尿感などの尿トラブルが起こります。月  日( )就寝時刻:  時  分起床時刻:  時  分排尿時刻尿量(mL)就寝時から翌日の就寝前までの1日分を記入してください。12325時 分時 分時 分時 分mLmLmLmL翌日の就寝時刻:  時  分がまんできない感じ(○印)漏れ(○印)メモ正常な前立腺の場合前立腺膀胱前立腺が肥大尿道前立腺肥大症の場合尿道を圧迫図表4 重要な排尿日誌図表3 前立腺肥大症と尿トラブル

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