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などもあります。基本的に、副鼻腔炎は命にかかわるような深刻な病気ではありませんが、まれに眼窩内合併症(失明や海綿静脈洞血栓症など)や頭蓋内合併症(脳腫瘍、髄膜炎など)といった重大な病気、気管支ぜんそく(以下、ぜんそく)などの呼吸器疾患を招くこともあるので、次に述べる症状に思い当たる場合は早めの受診が大切です。副鼻腔炎の典型的な症状は、鼻水と鼻づまりです。鼻水は副鼻腔内から大量に分泌され、前面の鼻の穴の側だけでなく、のど側にも流れ落ちるようになります(後鼻漏)。鼻水の特徴は、粘り気が強く、黄色や緑色をしており、患部が化膿して膿がたまることもあります。このような粘り気の強い鼻水がのど側に流れると、不快感や咳が続き、夜に熟睡できなくなることがあります。鼻づまりは、副鼻腔の粘膜が炎症を起こすことによって腫れ、自然口がふさがってしまうことによって起こります。粘膜に「鼻茸(はなたけ)」というポリープができることもあり、鼻茸が大きくなると空気の通り道がふさがれてしまうため、鼻呼吸がしづらくなります(5ページ、図表3)。また、鼻づまりがひどくなると大気中のにおい粒子が鼻腔内の嗅上皮に届きにくくなるため、嗅覚障害が起こりやすくなります。においがわからなくなると味覚にも影響が及び、食事がおいしく感じられなくなります。副鼻腔炎の症状は、鼻症状だけではありません。副鼻腔の周囲には脳や額、ほお、歯があるため、頭痛や頭重、歯痛、ほおや額、目の痛みが起こることもあります。とくに頭や顔面の痛みは急性副鼻腔炎の場合に強く現れる傾向があるので、発症を示すサインともいえます。慢性副鼻腔炎に進行すると、これらの症状に加え、副鼻腔内にたまる膿により、異臭・悪臭を感じることがあります。また、副鼻腔炎とぜんそくは相互に強く影響し合っていることがわかっています。副鼻腔炎が悪化するとぜんそくも悪化して呼吸困難に陥り、命にかかわる危険があるので注意が必要です。逆に、ぜんそくが改善すると副鼻腔炎も改善し、副鼻腔炎が改善するとぜんそくも改善するといわれています。好酸球性副鼻腔炎は、両側の鼻の中に多発性の鼻茸ができ、手術をして取り除いてもすぐに再発する慢性副鼻腔炎です。治療がむずかしいため、2015年鼻水や鼻づまりだけでなく顔面痛や頭痛、ぜんそくなども好酸球性副鼻腔炎は鼻茸の再発をくり返す42023.10 – LABO ■上鼻道中鼻道下鼻道ぜん とう どうし こつ どうじょうがく どう前頭洞篩骨洞鼻中隔上顎洞ちょうけい こつ どう蝶形骨洞鼻腔副鼻腔は鼻腔の周囲に点在する空洞です。1つの大きな空洞ではなく、4種類の副鼻腔が左右に1対ずつ、合計8つあります。そして、すべての副鼻腔は自然口という穴で鼻腔とつながっています。□免疫力が低下し、鼻風邪を引き起こす細菌やウイルスに感染しやすい人□花粉症などのアレルギー性鼻炎のある人□鼻中隔弯曲症の人(左右の鼻腔を隔てる骨が曲がっている人)□上あごの奥歯を治療中または歯周病のある人□ぜんそく、アスピリン不耐症、薬剤アレルギー、慢性気管支炎の人□喫煙者または周囲に喫煙者がいる人□親が副鼻腔炎にかかったことのある人図表1 副鼻腔の種類と位置副鼻腔炎はどんな人がなりやすい? 副鼻腔炎は幅広い年齢層に発症する病気です。次のような人はリスクが高いと考えられていますので、注意しましょう。コ厶ラ

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