Labo_537
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*6▼鼻汁好酸球検査(血液学的検査)▼嗅覚検査副鼻腔炎の治療は抗菌薬などの薬物療法が中心▼局所療法・鼻処置……吸引管という細い管を鼻の・副鼻腔洗浄……上顎洞に注射針を刺し調べます。とくに上顎洞に注射針を刺して採取する分泌物の検査は、最も信頼性が高いとされています。好酸球性副鼻腔炎は免疫系の異常で起こるため、アレルギー検査を行います。アレルギー性鼻炎では好酸球の増加が認められ、血中よりむしろ鼻粘膜での増え方が顕著です。そのため、副鼻腔炎の場合も鼻水を採取して検査します。鼻水を特殊な液体で染色した鼻汁塗抹標本を作製し、顕微鏡で好酸球の出現の有無や程度を観察します。嗅覚の異常の有無や程度を調べます。においをしみこませた紙をかぐ検査が一般的です。副鼻腔炎の治療では、まず局所療法と薬物治療を行い、改善されない場合は手術が検討されます。なお、好酸球性副鼻腔炎の治療についての詳細は、図表4を参照してください。鼻腔や副鼻腔を洗浄し薬を注入します。中に入れ、鼻水や膿を吸引する。て副鼻腔を生理食塩水で洗う。・ネブライザー療法……専用の装置を用▼薬物療法▼手術いて、抗菌薬や抗炎症薬を霧状にし、鼻の中に送り込む。急性副鼻腔炎の場合は、ペニシリン系などの抗菌薬を短期間(7~10日間)使用します。多くの場合、これによって改善します。慢性副鼻腔炎の場合は、粘膜を修復し、鼻水を体外に排出させやすくするマクロライド系抗菌薬を3カ月程度、少量ずつ服用します。そのほか、ステロイド薬がよく処方されます。鼻症状を改善するためには鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)を、症状が急に悪化したり、鼻茸ができたりした場合には、経口ステロイド薬(飲み薬)を使います。内視鏡を使った手術が主流です。内視鏡と、先端に刃がついた器具(マイクロデブリッダー)を鼻の穴から挿入し、医師がモニターの画像を見ながら腫れた粘膜や鼻茸を取り除きます。一般的な慢性副鼻腔炎であれば、再発することはほとんどありません。       慢性副鼻腔炎に進行させないためには、急性副鼻腔炎の段階で適切に対処することが大切です。風邪が治っても鼻水や鼻づまりだけが長引いている場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。2023.10 – LABO ■図表4 好酸球性副鼻腔炎の治療難治性の好酸球性副鼻腔炎にどう対処する?近年、好酸球性副鼻腔炎の患者数が増えています。治療法に加え、どのような経過をたどるのかを知っておきましょう。■ステロイド薬による治療が第一選択  好酸球性副鼻腔炎は治療がむずかしく、従来のマクロライド系の抗菌薬の服用だけではほとんど効果が得られません。 軽症で鼻茸が小さい場合は、ステロイド薬の内服か噴霧薬を使う治療が中心となります。ステロイド薬には白血球の一種である好酸球の粘膜への浸潤を減少させ、活性化を抑制する作用があります。ステロイド薬は長く服用し続けると副作用が起こることがあるため、減量しながら約3カ月間継続します。鼻茸が小さくなり、嗅覚が戻るなどの改善が認められています。■再発し鼻茸が大きくなれば手術が必要  しかし、好酸球性副鼻腔炎は再発しやすいのが特徴です。ステロイド薬による治療が一旦終了し、症状が改善していても、風邪を引いたり、細菌やウイルスに感染したりすると症状が現れるため、再び薬物療法を開始します。こうして、治療と再発をくり返すうちに、鼻茸が徐々に大きくなっていきます。 鼻茸が大きくなると、内視鏡を用いる手術で完全に取り除きます。術後はステロイド薬の内服を続けながら経過観察をしていきます。 最近、新たな治療薬として、分子標的薬の「デュピルマブ」が登場し、2020年3月に保険適用になりました。現時点では限られた重症の患者さんにしか使用されていませんが、好酸球性副鼻腔炎の新たな治療法として期待されています。 好酸球性副鼻腔炎の患者さんは風邪を引いたりすると症状が悪化するため、普段から規則正しい生活やこまめな手洗いなどを励行し、鼻症状を引き起こす感染症の予防に努めることが大切です。

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