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17348●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。日本臨床検査専門医会五十嵐 岳2023.10 – LABO ■ビール  泡 盛  チューハイ  日本酒  ワイン  ウイスキー適正飲酒量多量飲酒5%  30%  7%  15%  12%  43%アルコール濃度500ml  0.5合  350ml  1合   アルコール20g1500ml  1.5合  1000ml  3合   500mlアルコール60gロング缶3本   3缶  (270ml)(540ml)1本は720mlグラス1.5杯(150ml)ダブル1杯(60ml)ダブル3杯(180ml)1本は350ml検査のはなし vol.14専門医が教えるγ-GT上昇は何を示しているの?γ-グルタミルトランスぺプチターゼは腎臓、膵臓、肝臓に存在しており、胆石やがんなどによる胆汁分泌障害や肝細胞障害が生じた際に上昇します。正常値は成人男性:10〜50U/L、成人女性:10〜30U/Lです。また、胆石やがんのみならず、アルコールや薬物にも反応しやすい値です。上昇の原因には、飲酒、脂肪肝、薬(抗てんかん薬、向精神薬、抗凝固薬、ステロイド)を考える必要があります。アルコールがγ-GTに 与える影響上記のなかでもアルコールがγ-GTに与える影響は特に大きく、γ-GTとアルコール性肝障害には高い関連性があります。では、1日にどれくらいの量を飲酒するとアルコール性肝障害に至ってしまうのでしょうか? アルコール性肝障害診断基準2011では男性60g以上、女性40g以上の純エタノール摂取を過剰飲酒の条件としています。具体的には図1を参照してくださいね。ALPのアイソザイムとは?アイソザイムとは酵素としての活性がほぼ同じでありながら、タンパク質分子としては別種である酵素を指します。要は双子のようなもの…と考えていただくとイメージしやすいかもしれません。ALPは6つ子になるのですが、ALP1&2は肝由来、ALP3は骨由来(骨芽細胞由来)、ALP4は胎盤由来、ALP5は小腸由来、ALP6は潰瘍性大腸炎との関連が深いことがわかっています。ですので、ALPが高値を示した場合にはALPアイソザイムを血液検査にて追加することにより、病変がどこに存在するのかを絞る手がかりとなるのです。ALP上昇は何を示しているの?アルカリフォスファターゼはγ-GT、LAPともに胆道系酵素と呼ばれています。ALP上昇時には、胆石、悪性腫瘍、閉塞性黄疸のような胆道系病変、もしくは胆汁うっ帯による胆道内圧亢進の存在が疑われます。正常値は100〜350U/Lです。また、ALPには6種類のアイソザイムが存在し、さらに病因を追求することができます。図1. アルコール20g(正常値)と 60g(アルコール性肝障害量)見逃せない検査異常「γ-GT、ALP」2

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