Labo_539
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読んでみた一冊能力はどのように遺伝するのか「生まれつき」と「努力」のあいだ能力は遺伝するのか。そもそも能力とは、遺伝とは何なのか――実はわからないことだらけの領域について、慶應義塾大学文学部名誉教授で教育学博士の安藤寿じう康氏が解説。これまで正面から議論されることのなかった「遺伝と能力」という問題について、深く考えさせられます。なぜ多くの人は、大谷翔平や藤井聡太のような卓越した能力を獲得することができないのか、なぜある人は残虐な罪を犯してしまうのか。著者が強調するのは、心はすべて遺伝的であり、行動もまた遺伝的であるということ。「人の能力や心の働きは、■ ■によって『完全に決まっている』わけではない」(原文引用)ものの、遺伝子の差は重要な個人差の遠因となっゅこていると記しています。第1章「遺伝子が描く人間像」、第2章「才能は生まれつきか、努力か」、第3章「才能の行動遺伝学」、第4章「遺伝子が暴かれる時代」、第5章「遺伝子と社会」の5つからなる本書。統計データをはじめ難解な部分もありますが、最後まで読み進めるうちに少しずつ理解が深まっていきます。大谷翔平と私たちの遺伝子はは遺伝によってほとんど決まる、さまざまな知能の高さはたったひとつの因子で決まる、遺伝の影響は年齢を重ねるほど大きくなっていく、能力は経験の蓄積によって次の能力の土台となるなど、知らなかった遺伝子の真実に喜んだり悲しんだり……。遺伝にまとわりつく無知の闇を真実の光で照らし、自分がわからずに悩む人たちに希望を与える一冊。自分には才能がないと諦めるのではなく、努力を続けてみようと思えてきます。北から南から琵琶湖の西岸を南北に通るのが西に越前国(現・福井県)に通じ、壬申の乱や恵え美押勝(藤原仲麻呂)の乱などで大軍が移動するなど、古代ロマンの匂いに満ちた街道です。春は桜が湖岸をピンク色に染め、夏はキャンプやウォータースポーツでにぎわい、秋は紅葉で色づき、冬は琵琶湖で水鳥が泳ぎ、湖畔や山々は雪化粧ー。まさに自然の宝庫です。今も古い家並や町割り水路など城下町の面影を残すこのあたり(高島市)には滋賀県を代表する名勝・景勝地が数多く点在しています。湖中に朱塗りの大鳥居があり、国道161号をはさんで社殿が鎮座しているのは近江最古の大社「白しげ鬚神社」。2000余年の歴史を誇り、現在の社殿は豊臣秀吉の遺命によって子の秀頼が造営したものです。JR湖西線の近江高島駅の東南ある、石垣に囲まれた小高い森が「大おぞ溝城跡」です。本丸の南東の「乙女ヶ池」は琵琶湖の内湖です。古地図によると、大溝城は城堀を内堀、乙女ヶ池を外堀とする水城で、「鴻ここ湖城」とも呼ばれました。乙女ヶ池付近は恵美押勝の乱の戦場となり、戦いに敗れた押勝が処刑された「勝か野の鬼江」がこの地と推定され、幾多の歴史を秘めています。乙女ヶ池周辺には万葉人が都と北陸地方を行き来する際に詠んだ旅の叙情の歌が幾首か残されていて、ロマンあふれる地としても人気のエリアです。少し北に足を延ばすと、新緑の季節に黄色い花を咲かせる「ノウルシ群生地」があります。バイクや自転車など、思い思いのツーリングで西近江路の四季を感じてはいかがでしょうか。近おみ江路じ。近江国(現・滋賀県)からにえおののつうみおらひつかしおのみうしい近畿支部より431from North to South15■ LABO – 2023.12ノウルシ群生地白鬚神社近江高島駅大溝城跡乙女ヶ池敦賀IC北陸自動車道JR湖西線新旭駅木之本IC高島市役所琵琶湖西近江路名神高速道路京都東IC■■・9%同じ、子どもの勤勉性※画像提供:(公社)びわ湖高島観光協会安藤 寿康 著講談社 価格 ¥1,100(税込) 車 :(高島市役所まで)名神高速道路京都東ICから約60分、北陸自動車道木之本ICから約40分・敦賀ICから約45分(JR湖西線新旭駅から徒歩約2分)●白鬚神社、大溝城跡、乙女ヶ池、ノウルシ群生地 (滋賀県高島市)アクセス 電車:JR湖西線近江高島駅から徒歩約40分(白鬚神社)、近江高島駅から徒歩約7分(大溝城跡)、近江高島駅から徒歩約5分(乙女ヶ池)、新旭駅から乗合タクシー(予約制)で「針江・大久保」下車徒歩約10分(ノウルシ群生地)春になると一帯を黄色に染める「ノウルシ群生地」延命長寿、縁結び、子宝などさまざまな御神徳があることで知られる「白髭神社」。琵琶湖に浮かぶように建つ大鳥居が神秘的バス釣りのメッカとして多くの釣り人に親しまれている「乙女ヶ池」にかかる「太鼓橋」大溝城は織田信のぶすみ澄が安土桃山時代に築城したとされるbook「古代ロマン漂う西近江路を辿る」

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