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謹んで新春のお慶びを申し上げます。旧年中は当協会の事業活動に対して、格別のご理解ご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。さて、当協会は、昭和四十八年三月十日に創立して、昨年満五十年を数えるに至りました。五月には創立五十周年記念式典を挙行し、大変多くの方々にご列席を賜りました。これもひとえに、行政、関係学会、関係団体の皆様方のご指導、ご支援の賜物であり、会員衛生検査所各位のこれまでのご努力の成果であると、心から感謝申し上げます。先人たちから紡がれてきた日衛協の歩みは、激動の臨床検査の歴史とともにありました。現在も課題は数多くあります。平成三十年に施行された「医療法等の一部を改正する法律」に関連して、同年「衛生検査所指導要領」が改定されましたが、令和二年度の厚生労働科学研究では、改定後に即した方法は衛生検査所の文書作成業務の増加や検査技師数・検査室面積の規定への対応が困難であることが報告され、当協会としても実態に則した柔軟な対応を行政に求めました。そして、それを引き継いだ令和五年度の「衛生検査所等の適切な登録基準の確立のための研究」において、同要領の各基準、および臨床検査の在り方の見直しが検討され、今後提言がなされると伺っております。また、政府が推進する医療デジタルトランスフォーメーションでは、共有する医療情報に検査情報も含まれており、地域医療連携や災害対策推進のため検体検査コードや基準範囲の標準化の検討が必要です。さらに法改正では、遺伝子関連検査・染色体検査の品質・精度の確保が謳われておりますが、衛生検査所でもその理念の意識づけ、取組み強化を行わなければなりません。さらに臨床検査は、各医療機関から毎日検体を集荷するなどの物流面が非常に重要ですが、二〇二四年問題のような人材不足の問題は当業界にも例外なく押し寄せており、喫緊の課題となっております。しかし、様々な課題は会員検査所をはじめとした皆様の協力のもと、必ず乗り越えていけると確信しております。日衛協は創立以来、「検査精度の維持・向上こそが登録衛生検査所の生命線である」という理念に基づき、根幹である「精度管理」、そしてそれを守る人材を育てる教育を、重点事業として推進してまいりました。創立五十周年を迎えた今、あらためてこの理念に立ち返り、国民医療を支える衛生検査所の存在意義、そしてその使命と決意を、これからの臨床検査を担う新しい世代とともにあらためて考え、次の五十年を紡いでいく所存です。この使命の重要性を突き付けた新型コロナウイルス感染症は、昨年五月に、感染症法上の位置付けが五類になり、社会、日常生活はコロナ禍以前の状態に戻りつつあります。当協会では発生当初より、厚生労働省等からの協力要請に基づき、各会員衛生検査所にPCR検査体制の拡充等を要請し、行政検査においては一日あたり二十万件を超える検査受託体制を構築いたしました。現在では検査数は激減しておりますが、日衛協では、新興感染症に対する備えを怠ることなく、これまでに培われた経験、取組みを活かしてまいります。これまで日々献身的に職務に努められてきた皆様に、心より敬意を表すとともに、引き続きご協力を賜りますよう何卒お願い申し上げます。臨床検査は、医師が日常臨床において行う的確な診断、治療及び経過観察だけではなく、予防医学の健診においてもこれまで以上に必要不可欠な分野となりました。これに伴い、検体検査の多くを実施している衛生検査所は、各地域の医療に貢献する役割を担い、国民医療を支える存在としての評価を頂くことができました。これからも当協会は、医療に欠かすことができない臨床検査を業とする衛生検査所の団体として、会員相互が協同し、関係団体との緊密な連携のもと事業を推進してまいりますことを申し上げ、年頭のご挨拶とさせて頂きます。7■ LABO – 2024.01一般社団法人日本衛生検査所協会会長 久川 芳三

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