Labo_541
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令和5年度第24回一般公募エッセイ大恵やすよ(40歳/兵庫県)「検査がくれたもの」入賞作品紹介優秀賞3カ月健診で体重の増加が少ないことが指摘され、粉ミルクを試すことになりました。ミルクを飲ませていると、娘の口の周りが赤く腫れ始めます。アレルギー検査の結果、乳製品と卵のアレルギーが見つかり、粉ミルクはアレルギー専用を使うことになりました。離乳食を開始する時期になり、再び検査を受けたところ、小麦や大豆にもアレルギーがあることがわかりました。さまざまなアレルギーを持つ娘に、これからどう離乳食を進めていこうか頭を抱える私。しかし、今後の検査次第では、アレルギーの数値が下がっている可能性もあります。がっくりと肩を落としていた私ですが、検査のおかげで食べてはいけない食材を知ることができたと、検査結果をよいほうに考えるようにしました。とはなかった娘ですが、1歳を過ぎると病院へ連れて行くだけで、泣き叫ぶようになりました。おしゃべりができるようになると、「今日お注射?」と、不安そうに私の目をのぞき込む娘。検査する理由を何度も伝えましたが、2歳の娘が理解することは難しく、病院に行くことが娘のストレスになっていました。外は食べることができるようになり、血液検査も年に一度でよくなりました。しかし5歳の春に強い赤ちゃんの頃は、採血で泣くこ幼稚園に入る頃には、乳製品以アレルギー反応を引き起こし、病院で検査を受けた結果、五大食物アレルゲン以外にもさまざまな食べ物に対して高い数値が出ていることがわかりました。食べたいものが食べられず、大嫌いな注射をする娘のイライラが止まりません。代われるのであれば代わってやりたい。娘のつらさが半減するのであれば、娘以上の苦しみを味わってもいい。そう願っても、娘の苦しみを私に移すことなどできません。私は何もしてやれないかわりに、検査を受ける意義を再び娘に伝えることにしました。2歳の頃には理解できなかった話も、5歳になると少し納得した様子で、以前とは違った反応を見せるようになっていました。何もわからない中で、ただただ検査を受けさせられる恐怖があったのだろうと思います。私は、アレルギーについてわかりやすく書かれている絵本を読み聞かせるなどして、娘と一緒にアレルギーについて学ぶようにしました。その娘も14歳になりました。今も食べることができない食材がたくさんあります。検査についてどう思うか、娘に尋ねてみました。すると「検査は苦手。でも自分の身体を知るために、可能性を探るために受ける」と、前向きな気持ちを聞かせてくれました。母子手帳に挟んである膨大な検査結果は、娘の成長記録そのものです。検査結果に一喜一憂した日々が、今では懐かしくもあります。検査を受けることで得られる結果は、大きな力となり、日々の生活を支える糧となります。検査は決して楽なものではありません。しかし自分の身体と向き合うために、これからも娘には前向きな気持ちで検査を受けてほしいです。娘の成長記録11■ LABO – 2024.02

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