Labo_541
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倦怠感は、発熱や痛みとともに生きている体の3大アラームの1つで、誰にでも起こるありふれた症状です。また、多くの病気の症状として現れるものであることから、原因となる器質的疾患(臓器そのものに異常がある病気)がないときには、精神疾患や怠けているなどとみなされてきました。「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(以下、ME/CFS)」は、最近まで「慢性疲労症候群」と呼ばれてきた病気です。しかし、この病気は重い症状から日常生活に支障をきたし、寝たきりになることも少なくありません(4ページ、図表1)。「疲労」という言葉が入る病名では症状の深刻さが伝わらず、誤解のもとになるということで、患者さんやその家族から病名の変更が切望されました。一方、イギリスで「筋痛性脳脊髄炎」と呼ばれていた病気と、米国で流行性神経無力症(のちの慢性疲労症候群)と呼ばれる病気が一致していることがわかり、現在の名称が使われるようになったのです。日本では1991年より旧厚生省CFS調査研究班が実態調査を行い、一旦終了したものの、2009年以降、厚生労働省の研究事業として研究が進められています。2016年には、日本でも病名にME/CFSを用いることにな病名が慢性疲労症候群では病気の深刻さが伝わらない3■ LABO – 2024.02賢く知って 正しく対処!病気とけんさ健康な人であれば、疲れを感じても適度な休息をとれば回復します。ところが、これまで元気に生活していた人が、突然、原因不明の強い倦怠感に襲われ、微熱や全身の痛み、思考力の低下などのさまざまな症状に長期間悩まされる場合があります。この長引くつらい症状は、新型コロナウイルス感染症の後遺症としても注目されています。このような症状に苦しんでいる場合は、単なる疲れではなく、「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome =ME/CFS)」かもしれません。強い倦怠感が続く場合は単なる疲れではない可能性が!筋痛性脳脊髄炎炎//慢性疲労症候群「筋痛性脳脊髄慢性疲労症候群」(MMEE//CFSCFS)

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