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1348●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。日本臨床検査専門医会後藤 和人2024.02 – LABO ■本文章は、BUN・Crの共用基準範囲は、日本臨床検査標準協議会 基準範囲共用化委員会BUN・Crのパニック値は、日本臨床検査医学会の臨床検査「パニック値」運用に関する提言書に準拠して作成しています。検査のはなし vol.14専門医が教える日本人間ドック学会 判定区分2023年度版項 目 血中尿素窒素(BUN)とは? 血中尿素窒素(BUN)の異常値・パニック値は?タンパク質から分解されてできる体内で余ったアミノ酸は肝臓で含窒素物質の代謝産物である尿素に変換されます。血中尿素窒素(BUN)は、血中の尿素に含まれる窒素の値を表し、腎機能が低下すると血中の尿素量が増加することになるため腎機能検査の指標となります。BUNの共用基準範囲は8~22mg/dL(JCCLS)であり、30~40mg/dL以上であれば精査を勧められることがあります。施設により80mg/dL以上であれば、パニック値と判定されて至急大きな病院で入院精査を勧められます。クレアチニン(Cr)とは? Crの異常値・パニック値は?クレアチニン(Cr)はクレアチンリン酸という筋肉が運動するための重要なエネルギー源が代謝されたあとにできる産物です。Crは腎臓でろ過されて尿として排出されるため、血中のCrの増加は腎機能検査の指標となります。Crの共用基準範囲は男性0.65~1.07mg/dL・女性0.46~0.79mg/dLで、2~3mg/dL程度以上であれば、精査を勧められることがあります。施設により、3(急性腎不全)ないしは8(慢性腎不全)mg/dL以上であれば、パニック値と判定されて、至急大きな病院で入院精査を勧められます。eGFRについてeGFR:推算式糸球体濾過量(estimated Glomerular Filtration Rate) は、腎臓のはたらきを示す数値として広く使われています。性別・年齢・Cr値を用いて、簡易に計算できる腎臓の指標です。日本人間ドック学会の基準範囲は60mL/min/1.73m² 以上であり、減少傾向である際には注意が必要です。性別 男性 女性 男性・女性A異常なし 1.00以下 0.70以下60.0以上Cr eGFRBUN・Crが異常値・パニック値とわかったら?腎臓の排泄機能が悪く、尿中に排泄できない場合は、排泄できないBUN・Crの値が上昇します。腎臓機能低下時には、これらの検査値以外にも電解質のカリウムなど様々な検査値にも異常が出現します。このように、健康診断や医療機関でうけた血液検査でBUNが少し高いと指摘されることはしばしばあります。その際には、食生活や体調をよく見直したうえで精密検査をうけることが必要となります。またパニック値や異常高値であると指摘された際には、速やかに専門医を受診しましょう。B軽度異常1.01~1.09 0.71~0.79 C要再検査1.10~1.290.80~0.99 45~59.9D要精密検査1.3以上1.0以上44.9以下見逃せない検査11異常「腎臓の検査(BUN・Cr)」2

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