Labo_542
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ダビンチによるロボット支援手術のメリット・デメリット第一に、ロボットアームで手術を進めるため正確な手術が可能になります。ロボットアームには、人の手とは違って「手ぶれ」がありません。また、人の手よりも、細かく正確な動きが可能で、従来の腹腔鏡下手術と比べると、より正確な手術を行えます。第二に、「関節」があるため自由度が高い手術が可能になりました。従来の腹腔鏡手術で使われる鉗子は、細長い棒状の器具です。そのためお腹の内で鉗子の先を動かす際に、動かせる範囲には制限がありました。一方、ダビンチのロボットアームに取り付けられる鉗子には「関節」があるので、角度を変えたり、回転させたりすることができ、狭い腹腔内でも、これまでより自由な方向や角度から手術を行えるようになりました。第三に、3D映像で開腹手術に近い感覚で手術を行えます。従来の腹腔鏡手術では、医師は通常のモニターに映し出された患部の映像を見ながら手術を進めていました。従来の内視鏡手術は、内視鏡カメラの映像が平面的で立体感がないため、非常に高い技術力が必要でした。一方、ダビンチのモニターでは、患部の映像は3次元化されています。そのため、医師はより開腹手術に近い感覚で手術を進めることができるようになりました。開腹手術とロボット支援手術を比べると、ロボット支援手術は、切開による傷口が小さく、手術中の出血量が少なく、入院期間も短いという結果が出ています。入院期間が短いのは、術後の回復が早く、手術による合併症も少ないからです。その一方で、手術時間や治療成績には差はありません。体力がなくて通常の手術では負担が重い高齢患者などにも向いていると思われます。デメリットとしては、執刀医に高度な技術が要求されることがあげられます。これについては、医療機関が導入するにあたって、製造販売元のインテュイティブサージカル社の認定を受け、日本国内の関連学会などが推奨するトレーニングを受講する必要があるとされています。日本ロボット外科学会では、ロボット支援手術の実績によって専門医の技術力を4段階にランクづけを行っています。図表2 ダビンチ2024.03 – LABO ■12執刀医の指示を受けてロボットアームが動く執刀医の指示③ビジョンカート執刀医がサージョンコンソールで見ているのと同じ映像がモニターに出力される。手術スタッフは執刀医が見ている画像を共有できる②ペイシャントカート執刀医の指示通りにロボットアームが動く。ロボットアームの先には、カメラや手術に使用する道具(鉗子など)が装着されている①サージョンコンソール執刀医が着席し、ロボットアームに装着されたカメラから送られてくる画像を見ながら、ペイシャントカートに指示を送りロボットアームを操作するMedical Trendメディカル・トレンド

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