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ロボット開腹手術支援手術ロボット支援手術は、呼吸器、心臓、消化器、泌尿器、婦人科など各科領域の疾患の手術で活躍しています。健康保険の適用は、2012年に前立腺がん、2016年に腎臓がん、その後、2018年に、胃がん、食道がん、直腸がん、膀ぼうう胱こがん、肺がん、子宮体がん、縦隔悪性腫瘍の7つのがんと、子宮筋腫、心臓弁膜症、縦隔良性腫瘍に広がりました。さらに2020年からはすい臓がんなどが、2022年からは結腸がんなどにも適用が広がっています。なお、ロボット支援手術を保険適用で受けられる病気は、腹腔鏡や胸腔鏡を用いる内視鏡手術の適応であることが前提となります。保険適用となる病気でも、内視鏡手術の適応でない場合は、ロボット支援手術を受けることはできません。保険が適用される場合の一例を見てみると、患者の負担する医療費が保険適用されず、医療費を全額負担する自由診療で手術を行った場合、たとえば胃がんでは、患者の負担はおよそ200万円ほどでした。一方、保険適用による3割負担なら50~60万円程度になります。保険適用でロボット支援手術を受ける場合、患者負担は、通常の内視鏡手術とほぼ同額です。また、収入などにもよりますが、高額療養費制度を利用すれば、患者負担はさらに10万円前後にまで下がります。ロボット支援手術を希望する場合、まず担当医などに相談して、自分のケースがロボット支援手術の対象となるかを確認してください。ロボット支援手術を行っている医療機関については、各施設のホームページや問い合わせで確認することができます。また、日本ロボット外科学会の専門医がいる医療機関などを受診して、自分の病気が対象になるか、保険が適用されるかなどを相談するといいでしょう。専門医は日本ロボット外科学会ホームページ(https://j-roo.or.jp/senmon/certificat/list.pことができます。医師や病院を選ぶ際、健康保険で受けられることを確認する必要があります。ロボット支援手術を保険適用で行える医療機関は、厚生労働省が定める施設基準を満たしていなければなりません。その医療機関で、ロボット支援手術だけでなく、通常の内視鏡手術、また開腹手術や開胸手術も十分行っていることも条件となっています。ロボット支援手術を含めたさまざまな手術のなかから、適切な方法を選択できる医療機関で手術を受けることは、安心、安全のためにとても重要です。医師が手術台から離れた操縦席でロボットを操作するロボット支援手術。情報通信機器との組み合わせで、術者が遠隔地の患者をリアルタイムで手術する遠隔手術(オンライン手術)の研究も盛んに行われています。しかし、通信時間によるタイムラグなどの問題があり、現段階では、まだ、実用化には至っていません。今後、手術ロボットのますますの進化とともに、5G通信技術の整備などにより実現が期待されます。hp)で調べる広がる健康保険の適用患者負担10万円前後の場合もロボット支援手術も治療の選択肢のひとつに13■ LABO – 2024.03図表3 ロボット支援手術のメリット・デメリット図表4 出血量・入院期間の比較ロボット支援手術出血量開腹手術ロボット支援手術入院期間開腹手術(ml)15001000500★参考文献  日本ロボット外科学会ホームページ(https://j-robo.or.jp/)、NHK健康チャンネル2022年5月18日、時事メディカル2023年8月20日(日)30201000b●傷が大きくなる●退院までに時間がかかる(2週間程度)●鉗子を使って切除や縫合を行うので、担当 する医師は経験と高度な技術が必要●ロボットの操作を習得するのに時間が かかる134519.5メリット●患部を直接目で見ながら、広い 視野のもとで手術を進められる●傷が小さい●手術中の出血量が少ない●入院期間が短くなる545デメリット25.0順天堂医院Medical Trendメディカル・トレンド

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