Labo_No.543
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読んでみた一冊より北海道支部加齢にともなって記憶や認知はどう変わるのか、脳にどのような変化が生まれるのか、変化する記憶機能とどう向き合えばよいのか――高齢期を前に、あるいは高齢期まっ只中で、悩んだり戸惑ったりすることがあるのではないでしょうか。そんなときに読んでほしい一冊です。本書は、高齢者心理学、認知心理学、神経心理学などを専門とする筆者が「加齢により刻々と変化する私たちの記憶について、変えられること、変えられないことを見極めるために、加齢と記憶に関するこれまでの膨大な研究から明らかになった知見を紹介することを目的」(はじめに引用)に執筆。若年者と高齢者の記憶の違いや、認知能力の変化など、老化の実態について解説。気分や運動、コミュニケーションなどが記憶に与える影響にも触れ、人間の生涯において記憶がどのような意味をもつのかについても言及しています。「衰える記憶」と「衰えない記憶がある」、衰える記憶にどう対処すればよいのか、衰えゆく記憶への対処など、データやグラフ、イラストなどを用いてわかりやすく解説しています。加齢についての情報は、記憶力が悪くなる、頭の回転が遅くなる、体の調子が悪い、病気になるなどネガティブなものが多いのですが、本書を読み進めると、老いを前向きに受け入れ、ポジティブに向き合える気になってきます。健康でいるための努力は大切なことではあるものの、健康でいられなくなることが必然だとすれば、健康でなくなったときにどう生きるかを考えることも重要になる――筆者のそんな言葉に触れ、少し肩の荷が下りるのではないでしょうか。内庁)の御料牧場(現在の独立行政法人新冠牧場)が、明治36年に造成し、その後、同牧場を視察する皇族方の行啓道路として、同牧場職員が3年間の月日を費やして近隣の山々からエゾヤマザクラなどを移植。道幅がちょうど二十間(約36メートル)あったことから「二十間道路」と呼ばれるようになりました。日本一の桜並木といわれ、現在は「日本の道百選」「さくら名所100選」「北海道遺産」「新・日本街路樹100景」などに選出されています。周囲に広がる放牧地の緑の中、桜並木がまっすぐに延びてゆく景観は思わず息をのむ美しさ。晴れた日には青い空と周辺の山々の緑、そして桜並木のピンクのコントラストが見事です。桜の開花にあわせて開催される「しずない桜まつり」の期間中は、特別に「龍雲閣」が公開されます。「龍雲閣」は1909年(明治42年)に御料牧場の貴賓舎として建設され、皇族をはじめ多くの名士や高官が滞在。優美な御殿造りの外観で、内部には伊藤博文の揮毫額や皇族方が使用された家具、馬具など国宝級の品々が所蔵されています。「しずない桜まつり」ではイベント広場が登場し、土産品などを販売する出店が軒を並べます。北海道に本格的な春の訪れを告げる「静内二十間道路桜並木」、ぜひ足を運んでください。2006年に静内町と三石町が合併して新たに誕生した新ひだか町は、日高山脈を望み南部には太平洋が広がる、自然豊かな環境にあります。町には2000本を超える桜が直線7キロに渡って咲き誇る「静内二十間道路桜並木」があり、毎年桜の時期になると全国各地から約10万人もの人が花見に訪れます。この道路は、かつてこの地にあった宮内省(現・宮『老いと記憶』――加齢で得るもの、失うもの北から南からい23723527415■ LABO – 2024.04札幌駅北広島駅道東自動車道千歳駅JR千歳線道央自動車道新千歳空港日高自動車道苫小牧駅JR室蘭本線JR日高本線鵡川駅日高門別IC静内川静内二十間道路桜並木旭川千歳札幌釧路苫小牧室蘭函館新ひだか町増本康平 著中央公論新社 価格:¥858(税込)お問い合わせ:新ひだか町役場 総務部まちづくり推進課TEL:0146-49-0294●静内二十間道路桜並木北海道日高郡新ひだか町静内田原~静内御園アクセス:車:札幌中心部から約2時間30分、室蘭から約2時間30分、千歳から約2時間、苫小牧から約1時間30分、日高自動車道日高門別ICから約40分目の前に広がる青空と車窓のピンクのコントラストが美しい「静内二十間道路桜並木」二十間道路脇の「花のトンネル」。両側から覆いかぶさるように咲き競う桜花をじっくり鑑賞しながらの散策がおすすめ皇族方や要人を迎えるために建築された「龍雲閣」。貴重な木材を惜しみなく使用した独特の組み方の名建築写真提供:新ひだか町from North to Southbook 新ひだか町「静内二十間道路桜並木」

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