令和6年度「医療フォーラム21」令和6年1月に発生した能登半島地震は、被災地域が都市部から離れた郡部であったことで、臨床検査の安定的な継続、被災地域における検査実施体制、検体の集荷における課題が現地会員から多く報告されました。また、日衛協では令和2年よりBCP(事業継続計画)検討委員会を設置し、大規模災害時に会員検査所が検査事業を継続できるよう、体制整備について検討し、その結果として『衛生検査所のためのBCPガイドライン』を改定しました。検討過程の中で、標準化がきわめて大きな課題となることが鮮明になっています。日衛協は従前より、事業計画に「標準化へ向けての検討」を掲げ、会員衛生検査所は各社の判断にて、共用基準範囲や臨床検査項目標準マスター(JLAC)を導入していますが、導入率は高いとはいえないのが現状です。現在、政府が導入を進めている医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展によって、検査データの2次利用を行うにあたり、標準化はもはや避けられなくなっています。大規模災害への備えとしても、会員各社の検体検査受委託コードなどを標準化し、共有データベース等を構築することは、検討しなければならない重要な課題であるのです。このような中、政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会は、南海トラフ地震について、マグニチュード8~9クラスの地震の30年以内の発生確率が70~大規模災害時に、臨床検査や衛生検査所にとって必須である水、電気、交通網などが復旧するまで、衛生検査所としてどのように対応し、行動するべきか、業務を継続するためにどのように備えていくべきかを、そして、そのときに求められる適切な標準化、BCPとは何かを改めて考えなければなりません。これらの状況を踏まえ、これからの検体検査や衛生検査所はどうあるべきかについて、直近の能登半島地震、その前の熊本地震、2011年の東日本大震災の経験、実施例を報告いただきながら、討論が進みました。本フォーラムについては、各出席者の発言要旨をまとめ、冊子として制作する予定です。「大規模災害への備え」~BCP・臨床検査の標準化への対応~に迎えて意見交換を行う「医療フォーラム21」。令和6年度は「大規模災害への備え」~BCP・臨床検査の標準化への対応~をテーマに、3月19日に開催されました。前回のテーマ「臨床検査の標準化への対応」を引き継ぎつつ、今回は令和6年1月に発生した能登半島地震を受け、大規模災害時における医療、検査のあり方をメインテーマに、それぞれの立場で闊達な討論が行われました。臨床検査の役割、衛生検査所の課題等について、有識者の方々をシンポジスト大規模災害時に求められるBCP・標準化への本気の協力体制能登半島地震を受け日衛協としての「大規模災害への備え」24日時)。80%と公表しています(2020年1月2025.05 – LABO ■12 高木 康氏(公益社団法人日本臨床検査標準協議会 会長)近藤健介氏(一般社団法人日本衛生検査所協会 副会長)※所属などはフォーラム開催時のものです。令和6年度の医療フォーラム21は、「『大規模災害への備え』~BCP・臨床検査の標準化への対応~」をテーマに行われた令和6年度「医療フォーラム21」●出席者 座長 シンポジスト 藤本敬久氏(厚生労働省医政局地域医療計画課医療関連サービス室 室長補佐) 山田俊幸氏(一般社団法人日本臨床検査専門医会 副理事長/一般社団法人日本臨床検査振興協議会大規模災害対策委員会 委員長) 坂本秀生氏(一般社団法人日本臨床検査学教育協議会 理事長/一般社団法人日本臨床検査医学会チーム医療委員会 委員) 奥沢悦子氏(一般社団法人日本臨床衛生検査技師会 理事/一般財団法人青森県臨床検査技師会 会長) 板橋匠美氏(一般社団法人日本臨床衛生検査技師会政策調査課主席専門員 主幹/一般社団法人日本臨床検査振興協議会大規模災害対策委員会 事務局) 望月克彦氏(一般社団法人日本臨床検査薬協会 専務理事) 山下祐二氏(一般社団法人日本衛生検査所協会BCP検討委員会 委員長) 竹並 健氏(一般社団法人日本衛生検査所協会学術委員会 委員) 進行役 日衛協News
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