Labo_No.556
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■ LABO – 2025.05注)「リエゾン」とはフランス語で「橋渡し、つなぐ」という意味。大規模災害時では、情報が集まる被災地自治体の災害対策本部等に出向き、最新情報の収集、行政やさまざまな関係機関・団体との連携を円滑にする橋渡しの役目を担う情報連絡要員のこと。高木 康氏 藤本敬久氏 山田俊幸氏 坂本秀生氏 奥沢悦子氏 板橋匠美氏 望月克彦氏 山下祐二氏 竹並 健氏 近藤健介氏 大災害が起こったときでも検査を供給しなければなりません。どのような体制で検査を供給するかは重要な問題で、今回の能登半島地震の成功例をぜひ踏まえたいと思います。災害を経てきたことで経験を積み、連携体制が成熟してきているところに、頼もしさを感じました。厚生労働省としては、医療機関向けにはBCP策定の研修などの取り組みは行っていますが、衛生検査所に向けてはまだ十分とはいえないと思います。振興協議会の大規模災害対策委員会は物品支援にフォーカスし、人的支援は日臨技さんが大きな役割を担ってくださいました。物品供給の流れを一本化できたのが今回の特徴で評価すべき点だと考えています。日本臨床検査医学会 東日本大震災対策委員会としての臨床検査支援から、これまでに至るさまざまな経験をもとに、どのようなことが有用だったかを有機的につなげていくと、次に大規模災害が発生した時に素早い活動につなげていけると思います。日臨技では地震発生時の1日に情報収集・確認をし、2日には災害対策本部を立ち上げました。私はリエゾン注)という形で石川県庁に入り、感染症検査キットの準備を最優先させました。能登半島地震では、これまでの経験を活かし、試薬やドライケムの確保・対応にいち早く動くことができました。改善点として、臨床検査業界の各団体がより連携を深め、政府からの要請に対して一層強固な対応体制を築くことができたのではないかと考えています。数年前に、臨床検査振興協議会の中で大規模災害対策委員会を立ち上げました。これまでの災害を経て、情報もブラッシュアップされ、今回の能登半島地震では供給体制を整えることからスタートし、かなりスムーズに対応できたと思っています。大規模災害時には、緊急性を要する検査項目についてはどの会社でも受託できるよう、標準化の仕組みを前向きに検討し策定していくことが有効だと思われます。今回の地震では、日衛協としてあまり有効に動けなかったという反省があります。災害は起こってもらいたくないですが、発生時には、検査会社が持っている物流網等を有効利用することで、災害の早期復旧に活かすことができるのではないかと思います。大規模災害への対応について、日衛協はまだまだ発展途上だということを気づかされました。被災者の方々の力になれる協会に、発展していかなければと痛感しています。■座長■シンポジスト■進行役「医療フォーラム21」より…大規模災害時の事例が次々に述べられました!13

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