Labo_No.557
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しかつお津だと北から南からがぬまきょくすいんじゅうろうじんんゆから7月にかけての約4カ月間を、国分山東斜面の近ち津尾神社にある草庵で過ごしました。この草庵は、曲翠が伯父幻げ住老人(菅沼定さも知)の旧庵に手を加えて芭蕉に提供したもので、芭蕉はここからの眺望を心から愛していたそうです。ここでの暮らしを記したのが名文として知られる『幻住庵記』で、「幻住庵」の名は、幻住老人の名に由来しています。現在ある「幻住庵」は、1991年(平成3年)に芭蕉没後300年記念事業の「ふるさと吟ぎう遊芭蕉の里」の一環で復元されたものです。芭蕉は当時の印象を「いとど神さび」と表現しましたが、その趣は今も変わらず残っています。『幻住庵記』に「たまたま心まめなる時は、谷の清水を汲みてみづから炊かぐ」と記述があるように、近津尾神社の敷地内には、芭蕉が自炊していた痕跡 「とくとくの清水」があり、現在も変わらずに木立ちの中を流れています。また、境内社務所の横には大きな椎の木と句碑があります。句碑には『幻住庵記』の結びの句「先たのむ椎の樹もあり夏木立」が刻まれていますが、その句から、「幻住庵」の生活に満足していた芭蕉の様子がうかがえます。『おくのほそ道』で知られ、俳句を芸術の域まで高めた江戸時代の俳聖・松尾芭蕉。「おくのほそ道」の旅を終えた芭蕉は、1690年(元禄3年)ごろから膳所(滋賀県大津市)の義仲寺無名庵に滞在していましたが、門人のひとりである菅す沼曲翠(曲水)のすすめで、同年4月■ LABO – 2025.06琵琶湖大津駅膳所駅東海道本線(琵琶湖線)大津IC名神高速道路石山駅瀬田西IC東海道新幹線幻住庵京滋バイパス京阪電鉄石山坂本本線石山寺駅石山IC米原琵琶湖大津京都幻住庵神戸大阪奈良大垣f r o m N o r t h t o S o u t h15 一般社団法人日本衛生検査所協会(日衛協)は、血液や尿検査をはじめとする検体検査を専門に行う登録衛生検査所が加盟する一般社団法人です。当協会では、医療に欠かせない臨床検査の意義と重要性をアピールするとともに、健康な暮らしを守る臨床検査の役割を広く国民とともに考えるための広報活動を行っています。その一環として第26回目となるエッセイ作品の一般公募を下記のテーマで行います。 全国からの多くのご応募をお待ちしています。●テーマ 『検査がくれたもの』●応募要領 医療機関で私たちが受ける臨床検査には、血液検査や尿検査をはじめとする検体検査のほか、画像診断のための検査などさまざまな種類があります。これらの臨床検査にまつわる体験や心に残る思い出をもとにしたエッセイ作品を募集します。 例えば、臨床検査を受けてよかったと思えたことや臨床検査を通じて知った健康のありがたさ、家族や友人の大切さ、あるいは臨床検査による健康管理や病気予防の事例など、臨床検査に関わる事柄をもとにまとめてください。どなたでも応募できますが、出品作については未発表作品に限ります。 作品の表紙に題名、住所、氏名(ペンネーム不可)、年齢、職業、連絡先を明記のうえ右記の応募先までE-mail、郵送、またはFAXにてお送りください。●幻住庵滋賀県大津市国分二丁目アクセス車:京滋バイパス石山ICから約5分電車:JR東海道本線(琵琶湖線)石山駅からバスで約10分の幻住庵下車すぐひっそりとした佇まいの「幻住庵」「幻住庵」とともに復元された「表門」「幻住庵」の庭にある蹲げ ん じ ゅ う あ ん近 畿 支 部より 第 26 回 エッセイ一般公募のお知らせ●作品について 応募作品は1200字以内にまとめてください。●応募締切 令和7年8月20日(水)=当日消印有効=●賞金 最優秀賞1編=10万円、優秀賞2編=各5万円、    努力賞5編=各1万円●発表 選考結果は日衛協協会誌『ラボ』に掲載するほか、入賞     者に通知します。また、最優秀賞受賞者は11月27日    (木)に開催予定の授賞式にご招待します。●著作権等 応募作品の返却は行いません。また、作品の著作権は日衛協に帰属するものとし、入賞作品ならびに氏名等については協会誌『ラボ』のほか、日衛協が発刊するエッセイ集等の出版物やウェブサイト上に掲載します。授賞式の模様も『ラボ』誌上に掲載します。●応募先 〒112-0004 東京都文京区後楽2-3-28                  K.I.S飯田橋2階     一般社団法人日本衛生検査所協会        エッセイ『検査がくれたもの』公募係     E-mail:info@jrcla.or.jp     FAX:03(5805)5252江戸時代に松尾芭蕉が暮らした草庵住庵」大津市「幻

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