*膀胱炎の代表的な症状問診・診察プラス尿検査で膀胱炎を診断さまざまな膀胱刺激症状が出現高齢者では症状が出ないことも女性ホルモン減少の影響を受け膀胱炎の経過も変わってくる炎えんなどが起こっている可能性があります。恥骨の上の方や腰のあたりに痛みがみら4 れることもあります。感染が重度の場合は、尿が濁ることがあります。しかし、膀胱炎が起きても症状がまったく現れないケースも、とくに高齢者に多く、別の目的で行った尿検査で偶然発見されることもあります。高齢者では、膀胱炎でも排尿に関連する症状が現れず、発熱や混乱などの症状がみられることがあるので注意が必要です。なお、膀胱炎では、一般に38℃以上の発熱は起こりません。高熱が出る場合は、腎じん盂う腎じん排尿痛➡排尿時にツーンとしたしみるような痛みがある頻尿➡ふだんよりもトイレが近くなる残尿感➡排尿後も「尿が残っている感じがする」や「尿が出きっていないような感じがする」などの違和感がある尿意切迫感➡突然に我慢できないほどの強い尿意を感じる尿の濁り➡白血球や炎症部分からはがれ落ちた組織などが尿に混ざって濁ってみえる膀胱炎が疑われるとき、診断には、医師の問診や診察に合わせて尿検査が必須です。次のような尿検査を、順次行って体の構造をみるとわかります(図表1)。外尿道口の近くに膣や肛門が並んでいるため、排便時や性交時に付着した細菌が尿道に入り込みやすいのです。さらに、尿道の長さも大きな要因になっています。男性の尿道が約16~20センチメートルあるのに対し、女性の尿道は約4~5センチメートルしかないため、細菌が膀胱内に侵入しやすくなっています。一方、成人男性は尿道が長く、基礎疾患がないかぎり膀胱炎を発症しにくいといえます。したがって、成人男性の膀胱炎は、複雑性膀胱炎と判断されます。閉経後にエストロゲンの分泌量が減少すると、尿道の周囲にある腟や外陰部の組織が薄くなり、膀胱炎を繰り返しやすくなります。また子宮下垂や膀胱下垂があると、オシッコをしても膀胱を空にすることが困難になり、膀胱炎を起こしやすくなります。閉経前の女性が膀胱炎を発症する場合、強い症状が起こることが多いですが、閉経後の女性では、激しい症状はないものの、頻尿や排尿後の不快感、残尿感が長引くことが多くなります。曖昧に発症し、慢性単純性膀胱炎の経過をたどることが増えます。また、外尿道口の後ろの膣周辺には、デーデルライン桿かんん菌きという常在菌がすんでおり、pH3.5~4.5を保つことで細菌の増殖を防いでいます。これを膣の自浄作用といいますが、加齢によって女性ホルモンが低下すると、デーデルライン桿菌が減少し、自浄作用が弱くなります。膜自体も薄くなった膀胱の、外敵から守る力が低下するというわけです。膀胱炎の症状は、通常、頻尿、尿意切迫、排尿時の灼熱感や痛みなどがみられます。これらの症状は、数時間あるいは1日中続きます。夜間の排尿回数が増えること(夜間頻尿症)も、膀胱炎の症状として起こります。急に強い尿意に襲われて漏れてしまうこと(切迫性尿失禁)は、とくに高齢者でよくみられます。● 女 性 ●● 男 性 ●図表 1 膀胱付近の断面図膀胱尿道膀胱尿道尿道直腸直腸子宮直腸直腸2025.06 – LABO ■
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