Labo_No.557
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AAA7■ LABO – 2025.06にょうかんぜんどう参考文献:日本感染症学会 / 日本化学療法学会 「JAID/JSC 感染症治療ガイド 2019」 「JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015 ―尿路感染症・男性性器感染症―」、日本排尿機能学会 / 日本泌尿器科学会「女性下部 尿路症状診療ガイドライン第 2 版」、文献・教科書データベース「今日の臨床サポート」、国立国際医療研究センター AMR 臨床リファレンスセ ンター HP膀 胱 炎が心 配です。水分摂 取とトイレ習 慣を両 輪として整えましょう。尿道口の洗浄に温水洗浄は不必要です。排便時も、やわらかい水流で短時間の利用を。妊娠中から出産後は、膀胱炎のダントツ危険期です。衛生を心がけ、気になることはかかりつけ医に相談を!膀胱炎の予防や治療に温水洗浄便座は役立ちますか? 利用のコツを教えてください。妊娠中は膀胱炎になりやすいそうで心配です。胎児への影響は? やはり抗菌薬で治療するのですか? 子どものころのトラウマで、トイレ我慢がクセに…やっぱり身体に悪いですよね?管蠕動の低下などが起こ 基本的には温水洗浄便座は、排便時と生理中に使用する人が多いのではないでしょうか。本来、膀胱の中は無菌で、オシッコはきれいですから、排尿のときに神経質に洗う必要はありません。 排便時も、尿道口(尿が出る場所)を避け、肛門の周囲を弱い水流で洗ったうえで、水滴をやさしく拭くようにします。こするのではなく、水分を吸いとるように当て拭きします。 膀胱炎の治療のために、とくに温水洗浄便座の使用はおすすめしません。菌に感染しているからといって、尿道口を狙って尿道の中まで洗うような使い方は逆効果です。強い水流で洗ったり、ゴシゴシ拭いたりすると、かぶれや皮膚のバリア機能の低下を来し、膀胱炎を悪化させかねません。温水洗浄便座の不適切な使用により、年齢を問わずに急性膀胱炎が増えているという研究も報告されています。 膀胱炎はもともと女性に多い病気ですが、妊娠中はさらに膀胱に細菌が入りやすい状態になります。妊娠中には膀胱炎がよく起こるうえに、妊婦の約15パーセントに、無症候性細菌尿(膀胱炎の症状がなくても尿が細菌に侵されている状態)がみられます。 さらに、大きくなった子宮による尿管圧迫や、妊娠中に分泌されるホルモンの影響で尿管拡張、尿り、尿管を通る尿の流れが遅くなります。すると尿管から細菌が洗い流されにくくなり、感染症のリスクが高くなります。 妊娠中に膀胱炎や無症候性細菌尿になると、切迫早産や前期破水のリスクが高くなります。そのため、通常医師は症状のない妊婦に対しても尿検査を行って、細菌が検出されないかどうかを調べます。 細菌が検出された場合は、抗菌薬による治療が行われます。セファレキシン、ニトロフラントイン、トリメトプリム/スルファメトキサゾールがよく使用されます。妊娠週数に応じて、治療効果とリスクを慎重に検討しながら選択されます。 また、産後は胎児への心配こそなくなりますが、女性のライおフサイクルの中でも、とくに膀胱炎になりやすい時期です。悪ろ露などでデリケートゾーンが不衛生になりがちで、細菌が尿道に侵入しやすくなります。妊娠中に大量の女性ホルモンを浴び続けた膀胱は、筋力が緩むため尿がたまりやすくなっています 。 膀 胱 内 に 尿 が 滞 留 し て 、 微 量だった尿内の細菌が繁殖する悪循環が生じます。 目が離せない新生児の育児で、ついトイレに行くのを我慢しがちですが、お母さんの健康あってこそ!  膀胱炎の予防を心がけ、頻尿や残尿感など気になる症状があったら、かかりつけの医師に相談しましょう。一般的に、オシッコの我慢は膀胱炎のリスクを高めるといわれています。膀胱が過度に拡張し、血行不良を起こして免疫力が低下することが原因のひとつだと考えられています。一方、頻尿などで少量の尿を何度も排泄するのも、膀胱炎のリスクを高める可能性があります。膀胱内の除菌作用が十分に働かなくなるからです。排尿の回数は、一般的に 1 日に5~6回くらい(昼間の排尿の間隔が約3~5時間)が正常といわれています。1日の排尿回数が8回以上に及ぶと、頻尿とされます。水分をこまめにとり、生活習慣を工夫して、尿意を感じたら我慢せずにトイレに行きましょう。も っ と知 り た いQ3膀胱炎Q&AQ1Q2

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