日本衛生検査所協会の臨床検査精度管理調査は、1974年から始まり、今回で50回目を迎えました。同調査はわが国の代表的な検査所間比較プログラムの1つとされています。令和6年度第50回調査への参加は241施設でした。今回の検討会は、会場聴講とウェブのハイブリッド方式で開催されました。委員長の高木康先生(臨床化学的検査・昭和大学)は、「本調査は今回で50回目の節目を迎えました。ひとえにこれまで参加いただきました施設、そして担当の先生方、皆様のお陰であり、この場を借りて御礼申し上げます。臨床検査の精度管理は、測定結果に対する信頼性、測定における正確さと精密さです。測定値が真値にどれだけ近いかが正確さですし、測定値がどれだけばらついているかが精密さになります。いつ、どこで、測定しても同じ医学的判断ができるような検査成績を、われわれは患者さま、そして医師の方に返却しなければなりません。精度管理で重要なことは、過去の検査データとの比較と施設間誤差の解消です。外部精度管理調査は、自施設の測定値の全国レベルでの位置、そして測定系別利用頻度の傾向、測定法別の測定値変動幅を把握し、適切な測定系への移行を図ることを目的としています。臨床検査の精度管理は法律にも明記されています。今後もわれわれは精度管理に関する努力を怠らず、信頼のある臨床検査結果を国民に届けましょう」と総評を述べました。また、山田俊幸先生(免疫血清学的検査・群馬パース大学)からはCRPは例年どおり良好な成績で、腫瘍マーカー、ホルモン、フェリチンには方法間差はあるが、方法内差は満足できる成績であったこと、三ツ橋雄之先生(血液学的検査・慶應義塾大学)からは血球計数ではかなりばらつきが大きく、白血球数、好中球、リンパ球は評価対象外としたこと、菅野治重先生(微生物学的検査・鹿島病院感染症診療支援センター)からは塗抹染色検査の成績は前回に比べてよく、長年の懸案であったフェーバー法を講演者は、国際医療福祉大学教授の〆谷直人先生。令和5年度厚生労働科学研究費補助金地域医療基盤開発推進研究事業「衛生検査所等の適切な登録基準の確立のための研究」における提言をテーマに講演されました。「平成30年の医療法改正に合わせ、衛生検査所指導要領も大きく変化しました。これは画期的改良の1つですが、衛生検査所にとっての問題点は、同要領の見直しの不十分さと改悪とも言うべき追加です。必要面積、必要人員、必要検査機器が規模別ではなく、また必要書類の見直しという名目で不条理な追加が行われただけで、旧態依然とした書類の整理がな使用する施設がなくなった、等の各調査結果の講評が行われました。会場聴講とウェブのハイブリッド方式で開催された50回目の臨床検査精度管理調査結果検討会は、精度の維持・向上に継続して努めることをあらためて確認し、終了しました。のに、時代に合った検査の業務分野の分類の見直しもなされていません。令和5年度の厚労科研では、衛生検査所の形態が近年大きく変化したことから、その行政指導の在り方について見直す研究を行いました。最終的には衛生検査所指導要領の見直しと考えますが、この重要な部分が医療機関の検査室に適用されていることから、検査室業務分類の見直しなどを行っていくことが肝要です。追加された帳票類も、一般検体検査・病理検査・微生物学的検査・ヒト遺伝子/染色体検査などごとに時代にマッチしたものへの変化が求められ、衛生検査所が、効率的に検査が行えるような見直しが必要です。本研究の意義は、平成30年12月に施行された医療法への衛生検査所の対応を初めて検証することができたことです」参加者は〆谷先生の話に真剣に聞き入り、大変有意義な講演となりました。されていない等の登録要件の時代に合った見直し、そして科学・医学の進歩により検査項目が膨大となり、分析方法も多様に進歩した国民医療を支える存在であるために令和6年度(第50回)の「臨床検査精度管理調査結果検討会」が、6月24日に行われました。精度管理委員会が中心となり毎年行われている精度管理調査は、日衛協が積極的に取り組んでいる重要な事業の1つです。50回目を迎えた今年の調査結果検討会の模様をレポートします。「厚労科研の提言」をテーマに特別講演を開催■ LABO – 2025.08「第 50 回 臨床検査精度管理調査結果検討会」の模様委員長の高木康先生血液学的検査担当の三ツ橋雄之先生免疫血清学的検査担当の山田俊幸先生微生物学的検査等担当の菅野治重先生特別講演を行った〆谷直人先生「第50回 臨床検査精度管理調査結果検討会」参加証11日衛協News「第50回 臨床検査精度管理調査結果検討会」を開催
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