2025.08 – LABO ■4といわれる胆石が多く、胆汁に細菌が感染することなどが原因となって、胆汁中のビリルビンとカルシウムが結合してできます。胆石の組成に影響を及ぼす因子としては、高カロリー食、妊娠、長期間の経口避妊薬、極端な体重減少、肥満、脂質異常症などが考えられます。さらに、腸の切除、クローン病、肝硬変なども胆汁中のビリルビンの濃度を上げ、胆石ができやすくなるとされています。また、絶食や過度のダイエット、胃を切除したあとなどは、胆のうの働きが悪くなるため、胆石ができやすくなります。激しい腹痛発作や黄おうだん疸、発熱など胆石の場所により多様な症状が出現胆石ができても、胆のう結石では8割の人が、総胆管結石では2〜3割の人が、自覚症状がありません。このような場合には無症状胆石と呼ばれます。胆のうの機能や形状が保たれ症状がないことも多いのですが、胆管につながる細い管が詰まり、胆汁のうっ滞とともに炎症を起こすと、右上の腹部を中心とする強い痛み発作や、胆のうのある右の肋骨の下に限局する上腹部痛(息を吸うときの圧迫痛)などを起こします。痛みは食後に起きやすいのが特徴です。発熱がみられる場合は、胆石症による胆のう炎が強く疑われます。液体で、胆管を通って十二指腸に流れ出します。胆管の途中には、胆のうという袋状の貯蔵庫があり、ここで胆汁が濃縮され、食物が十二指腸に入ってくると十二指腸に分泌され、食物中の脂肪分やビタミンの消化・吸収を助けます。胆のうは、胆汁を一時的に溜めて成分を濃くし、食事にともなう腸の動きによって収縮する袋状のポンプ作用をもっています。 胆石は、胆汁に含まれる成分が固まって形成されます。胆石はコレステロール石と色素石の2種類に分けられます。コレステロール石は、胆汁のコレステロール濃度が高いときに結晶化して胆石になります。色素石はビリルビンカルシウム石図表1 胆石ができる場所胆石が胆汁の流れを妨げるような場所にある場合には、白目の部分や皮膚が黄色くなる黄疸がみられることがあります。黄疸になると、皮膚がかゆくなったり、褐色から黒色の尿(ビリルビン尿)が出たりします。胆石のあるところに細菌が感染すると、急性胆のう炎や急性胆管炎が起こり、高い熱が出るようになります。適切な治療が行われないと、細菌を含んだ胆汁が血液中に逆流し、敗血症というきわめて重篤な病気を引き起こします。血液検査では炎症反応やGOT、GTPに注目 胆石症の検査では、血液検査や画像診断が行われます。 血液検査では、胆石発作(疝せんつう痛発作)にともなう炎症反応、GOT、GTPなどの肝酵素や、胆道系酵素(ALP、LAP、γーGTP)の上昇がみられれば、胆石の存在が強く疑われます。 胆のうから落下した胆石が総胆管の出口を塞ぎ、黄疸や急性膵すいえん炎を合併すると、ビリルビンやアミラーゼの上昇がみられることがあります。胆石症診断の第1選択肢は患者負担の少ない腹部超音波検査胆石の存在を検出するために画像診断肝内結石肝臓胆のう胃膵臓十二指腸胆のう結石胆のうポリープ総胆管結石
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