Labo_No.560_re
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老化現象です。――元気のない男性に対して、いきいきとした高齢女性は多いですね。和田男性の場合は、年齢とともに男性ホルモンが減少します。ところが女性は閉経後に意欲や人づき合いをつかさどる男性ホルモンが増えるのです。これが男女の大きな違いで、女性は歳をとっても意欲的に過ごす人が多くみられます。スポーツジムに行くと、少しオーバーですが9割が女性ですよ。男性とは対照的です。感情の老化があっても、活動的に動いていれば老化は遅れます。逆に感情の老化に任せて体も頭も使わなくなれば、いわゆると「感情の老化」といわれる精神的な現象です。歩かない、頭を使わないと老化するということを頭では理解していても、やる気にならないのです。男性で早い人だと50代から意欲の低下が起こり、出世にもお金儲けにも関心がなくなります。意欲のないまま会社に行って、やがて定年を迎えると、その途端に外出しなくなって家に篭って、奥さんに鬱陶しがられるわけです(笑)。会社などの強制力がなくなると、一気に意欲低下が顕在化して活動がにぶり、やがて足腰が弱って動けなくなり、ボケたようになります。このような感情の変化は、脳の思考や判断、感情をつかさどる前頭葉が衰え、感情を安定させるセロトニンという神経伝達物質が減ってくるために起こる一種の人生100年時代といわれはじめて久しいですが、最近は単に長生きするのではなく、生活の質も大切にした、自由で自立できる健康寿命を重視する風潮に変わってきました。35年に渡る老人医療の経験や豊富な知識を活かして、60万部超えの『80歳の壁』や『70歳が老化の分かれ道』『老いの壁』など、ベストセラー作家としても知られる精神科医の和田秀樹さんに、老人医療の実態と、認知症やがんを恐れずに明るく元気な老後をおくるためのヒントをお聞きしました。――老後のために今から続ける健康の秘訣はありますか。和田実際に老人医療を経験して感じるの4     は、健康寿命や自立度を保つために必要なのは、体を動かし続けることです、続けていればいつまでも歩けます。いろいろなことに興味を持って頭を使い続ければ、認知症も遅らせることにつながり、ぼけている期間を短くすることが可能です。ですから今からでも体を動かし、脳を活性化することがとても大事になってくるのです。ただ障害があって、それは「意欲の低下」今できることは続けたほうがいい。それが老化を遅らせて健康寿命を延ばすいちばんの道!大きな障害は意欲の低下と感情の老化2025.09 – LABO ■文化放送でラジオパーソナリティとしても活躍いろいろなことに興味を持って、体と頭を使い続けることが大事!

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