Labo_No.560_re
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いちばんの道です。歳を重ねるにしたがって機能面でのロスはありますが、最期まで生き抜く力は残っていて、積み重ねてきた知恵は活かされるのです。――認知症と並んでの心配は、わが国の死亡率トップのがんです。戦後急速に罹患数が伸びています。和田高齢者専門の総合病院、浴風会病院7   に勤めていたとき、年間、ご遺体を100例くらい解剖しましたが、85歳を過ぎて体にがん細胞がない方はほとんどおりませんでした。つまり、がんはある種の細胞の老化です。それなら85歳過ぎの死因はほぼがんのはずですが、実際は3分の1で、残りの3分の2は亡くなって解剖してからがんがみつかります。お年寄りのがんは進行が遅いですし、多くの方はがんを抱えながらも、知らぬが仏で生きています。がんを怖れるより、共存していくという生き方もあるということです。早期発見、早期治療だけでなく、生活に支障のないがんもあるということです。日本はまだまだ高齢者医療に関する正確な知識が少ないと思います。――現役の精神科医でありながら、高齢者医療に関する新しくて正確な情報を提供しようと、毎年かなりの量の本を執筆され、世に警鐘をならされています。さらに幸齢党を結成しての政治活動、映画監督としてもメッセージ性のある作品を発表され、多彩な才能で八面六臂のご活躍です。そのバイタリティーやエネルギーの源はどこにあるのでしょうか。和田僕は今65歳。思ったことはしっかりと行動に移すことを、常に念頭に置いています。歳をとれば、自然に残りの人生は限られてきますから、「今やらなくてはもったいない」と思っているのです。■LABO – 2025.09がんとは闘うだけでなく共存した生き方もあり『80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』。80歳の壁の前後の対処法が満載『熟年からの性』。「高齢者の性」という問題に正面から取り組んだ画期的な一冊『80歳の壁』。2022年度の年間ベストセラーに。現在60万部超えを果たしている常に頭に置いているのは「思ったことはしっかり行動に移すこと」です

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