8020運動の目標は半数が達成も歯周病の有病率は成人の8割!3 歯は、食物を咀そしく嚼ゃして消化を助けるだけでなく、発音や顔の形状維持、そして全身の健康にも重要な役割を果たしています。健康寿命の延伸を目的に1989年に開始された「8020(はち・まる・にい・まる)運動」は、80歳で20本の自分の歯を保つことを目指しました。この運動の成果として、開始当初の達成率が約7バーセントであったものが、2022年の調査では51・6パーセントと、目標達成者が半数に達しています。しかし、達成率の向上にもかかわらず、歯周病の有病率は依然として高いまま。歯を失う大きな要因となっているとともに、全身の健康への影響が懸念されています。厚生労働省の『歯科疾患実態調査2024年(概要)』によれば、15歳以上の約47・8パーセントが、歯周ポケットの深さが4ミリ以上(やや進行した歯周病の兆候)の歯を有しています。とくに高齢者層では、歯周病の有病率が高く、75歳以上の約56・5パーセントが4ミリ以上の歯周ポケットをもっています。一方、若年層でも歯周病のリスクが増加しており、15~24歳で24・7パーセント、25~34歳で25・8パーセントが歯周ポケットの深さが4ミリ以上の歯を有しています(図表1)。■ LABO – 2025.10 歯周病が、国民病と呼ばれるほど広く蔓延しています。厚生労働省の調査によれば、15歳以上のほぼ2人に1人が4ミリ以上の歯周ポケットをもつ歯(歯周病)を有しており、高齢になるほどその割合が高くなっています。さらに、若年層においても歯周病が増加傾向にあることが心配されています。 自分の歯を保つことは、口腔の健康維持だけでなく、全身の健康や生活の質にも深く関わっています。歯周病は、歯を失う主な原因のひとつであるだけでなく、糖尿病、心臓血管疾患や脳血管疾患、認知症などさまざまな全身の病気のリスクを高める可能性があることが指摘されています。 早期の予防と適切なケアが重要ですが、多くの人が自覚症状のないまま歯周病を進行させているのが現状です。健康寿命を延ばすためにも、日々の口腔ケアの重要性を再確認し、歯周病対策を始めましょう。賢く知って 正しく対処!病 気 とけ ん さ100 年人生を阻む国民病「歯周病」
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