歯周組織原因は「歯周病菌」と呼ばれる細菌群歯し垢こや歯石に含まれる細菌が歯肉炎や歯周炎を引き起こす細菌が歯周ポケットをつくる歯周病発症・進行のメカニズムう4 いると考えられています。プラークのなかには、1ミリグラムあたり1億個以上もの歯周病菌が含まれており、その産生する毒素によって、歯肉が腫れたり出血しやすくなったりします。この状態から進行すると、歯肉が炎症によってどんどん腫脹し、歯周ポケットが深くなります。深くなった歯肉ポケット(歯肉溝)のなかは歯周病菌たちの繁殖しやすい酸素の少ない状態であるため、繁殖がさらに進むことになります。また、プラークのなかの歯周病菌などが唾液に含まれるカルシウムやリン酸と結合して、歯石という軽石のような硬い物質となり、歯の表面に付着します。これが歯石で、歯周病菌はこの歯石を足がかりにして、さらにポケットの奥深くへと進行していきます。このような歯周病の進行につれ、歯周病菌の毒素は歯を支える歯槽骨を溶かしていき、歯がグラグラしてきたり、歯肉が下がってきたりします。最終的には歯が抜けてしまいます。おもな歯周病菌としては、アグリゲィティバクター・アクチノミセテムコミタンス(Aa菌)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Pg菌)、プレボテラ・インターメディア(Pi菌)などが知られていますが、日本における歯周病の有病率は高く、成人の約80パーセント以上が何らかの歯周疾患に罹患しているとされています。歯周病は、歯の表面に付着したプラーク(歯垢)や歯石に含まれる細菌が原因となり、歯肉(歯ぐき)や歯を支える骨(歯し槽そうう骨こ)に炎症を引き起こす感染症です。初期段階では自覚症状がほとんどありませんが、進行すると歯肉の腫れ、出血、口臭、歯のぐらつきなどの症状が現れます。歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こした状態を「歯肉炎」、それに加えて歯を支える歯槽骨を溶かしてグラグラにさせてしまう状態を「歯周炎」といい、合わせて歯周病といいます。口腔内には約300~400種類の細菌が存在していますが、歯周病には、「歯周病菌」といわれる細菌が関わって歯周病プラーク歯周病菌などの細菌の塊歯石プラークにミネラルが沈着して石のように硬くなったもの歯周ポケット歯周病菌により歯肉に炎症が起こり歯肉溝が深くなったもの歯槽骨歯周病菌の毒素のために溶けていく。進行すると歯を支えられなくなり歯が抜け落ちる正常な状態歯肉溝深さが 2mm 程度まで歯肉ピンクで引き締まっている歯槽骨 歯根を支える骨歯根膜歯根と歯槽骨を結びつける繊維セメント質歯根表面を覆い歯根膜を結びつける 図表 1 歯周ポケットを有する者の割合(年齢階層別 / 15歳以上)図表 2 歯周病の症状15〜1920〜2425〜2930〜3435〜3940〜4445〜4950〜5455〜5960〜6465〜6970〜7475〜7980〜8485〜(%)1009080706050403020100参考:厚生労働省「令和6年歯科疾患実態調査結果の概要」4mm以上6mm未満 6mm以上(歳)2025.10 – LABO ■
元のページ ../index.html#4