Labo_No.562
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症状を把握する、環境を整えるためにも検査を被災地(避難所)で検査技師は何ができるのか?このように、私のリエゾンとしての最初の仕事は、感染症キットの手配となりました。東京の日臨技の災害対策本部は奥沢氏からの連絡を受け、日本臨床検査振興協議会の大規模災害対策委員会が整えた能登半島地震物品支援コアチームが機能することになります。「何がどのくらい必要なのか」をまとめ、供給できるメーカーに連絡をとり、支援がスタートしました。奥沢災害時の避難所は、公衆衛生上、まさに感染症そのものと考えなければいけな疾患系のコロナなのかを判断するのではなく、感染症キットを使用することで、避難所内の環境状況を把握することができ、さらなる被害を最小限に抑えることができたのではないかと思っています。被災地でDMATのメンバーとしての活動経験が豊富な奥沢氏。医師、看護師、薬剤師とともにチームを組み、リーダーのもと、それぞれの任務を遂行していく中で、奥沢氏は「臨床検査技師は何ができるのだろう」と、自分自身に問いかけることがあるそうです。奥沢災害が起きたとき、助けられたかもしれない命が失われていくことが多々あります。命を失う原因が、感染症だったり、深部静脈血栓(エコノミー症候群)だったり、薬剤の不足だったり――。この人たちを助けられる手立てはなかったのか、あるはずと自問自答します。その答えは、がれきに埋もれている人を助けることはできないけれど、検査技師として、その場にどんどん介入すること。例えば、運動量が減っている被災者に、血栓が起きないようにする弾性ストッキングの履き方を指導して、きちんと履いてもらうとか、腎臓や肝臓の薬についても、その機能のデータがないと処方できないものが多いのですが、水がなくても検査できるドライケムで、腎機能や肝機能の検査をしいのです。トイレは平時とは違う、いつもと同じように水が出るわけではない、免疫力は下がっている、ストレスも大きい、どれもが感染症のリスクです。そんな状況の中で、症状から判断するのではなく、検査キットを使ってきちんと診断をすることがいかに大切かということが、能登半島地震の現場ではっきりわかりました。これまでの災害時での薬の支援に関しては、DMAT隊やモバイルファーマシーなど、状況に応じた体制ができていましたが、検査については準備がまだまだ不十分でした。2024年の能登半島地震では、早急に送り届けられた感染症の検査キットが大いに役立ったのです。奥沢実際に、薬を処方するためには検査が必要なのですが、これまでの被災地では、発熱、嘔吐、下痢といった症状で判断していたケースが大半でした。診断をつけるための検査は必須ということがわかってきて、地震発生直後から、感染症の検査キットのオーダーがあったわけです。避難所では災害関連死の回避も大きな課題です。その対応のために、環境を整えることが重要なポイントになってきますが、環境を評価するひとつの手段として、この感染症の検査キットは大きな役割を果たしたと思います。病気に罹患した人の症状だけで、インフルなのかノロなのか、呼吸器12奥 沢 悦 子(おくさわ・えつこ)一般社団法人日本臨床衛生検査技師会 理事一般社団法人青森県臨床検査技師会 会長八戸市立市民病院救命救急センター 参事日本 DMAT(災害派遣医療チーム)         2025.11 – LABO ■

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