臨床検査所って何?

衛生検査所、ご存知ですか?
検体検査を行う民間の検査施設

多くの医療機関では、血液、尿、便、細胞などを調べる「検体検査」の一部またはすべてを、外部の検査施設に委託し、外部委託された検体検査のほとんどを、民間の衛生検査所で行っています。
また、検体検査のうち特殊検査についても、一般検査に比べて機械化による自動化ができないものや検査の頻度の少ないもの、検査を行うための設備投資の負担が大きいものなどは、医療機関内で検査を行うよりも、外部の検査施設へ委託したほうが効率的な項目が数多くあります。そうした検査項目については、院内に検査室を持つ大病院でも、外部の検査施設に委託するケースがほとんどです。
このように、病院や診療所などの医療機関から外部委託された検体検査のほとんどは、全国各地の衛生検査所が受託し、検査業務を行っています。衛生検査所は、臨床検査に関する法律で定められた施設基準や検査体制を満たし、各都道府県知事に衛生検査所としての登録が認められた検査施設で、令和4年5月23日現在、全国に924施設あります。これらの衛生検査所のうち390施設(令和4年5月23日現在)が一般社団法人日本衛生検査所協会に加盟しています。

衛生検査所の検査までの手順
精確、迅速で検体検査を行う

衛生検査所は、精度とスピードとネットワーク、この三位一体が強みです。一般社団法人日本衛生検査所協会では、衛生検査所の全国組織として検査精度の維持・向上を目指し、日々、研鑽しています。
衛生検査所における委託を受けてから検査までの手順を紹介します。患者さまの身体から採取した検体をもとに、検査・解析し、その結果を精度とスピードを持って各医療機関へ報告するまでが、私たち衛生検査所の大切な使命です。 臨床検査……
(1)症状の原因を調べる。
(2)症状の似た病気の中からどの病気に該当するかを調べる。
(3)診断の確認をする。
(4)病気の進行度合いを調べる。
(5)投薬による副作用の有無を調べる。
(6)治療効果を確認する。

診断から検査までの手順

「診断から検査までの手順」の画像
衛生検査所の検査の流れ
検体集荷から報告まで

衛生検査所の検査の流れです。検体集荷から検査・報告まで、最新の医療システムで対応し、 最終的な検査データは、通信端末に伝送され各医療機関に、報告書としてお届けしています。

検査の流れ

「診断から検査までの手順」の画像
精度管理とは?
「内部精度管理」「外部精度管理」がある

臨床検査を行う検査施設、そして私たちの衛生検査所では、測定値が正しい結果になるように、患者さまから検体を採取したそのときから、検体の取り扱いにはさまざまな管理条件を設定し、測定機器のメンテナンスや測定手法の研鑓を行っています。測定結果が正しいものとなるように管理することを「精度管理」といいます。
臨床検査の精度管理には、検査施設ごとに行う「内部精度管理」と、公益社団法人日本医師会や一般社団法人日本臨床衛生検査技師会、一般社団法人日本衛生検査所協会などの医療・検査関連団体が、個々の検査施設に対して共通条件のもとに広域で測定結果を調査する「外部精度管理」があります。「外部精度管理」では、検査施設で使われている機器類や分析のための試薬など、検査業務を行うための環境や条件が必ずしも一定でないことから、同ーの検査項目ごとに多少の差異があることは否めません。
そこで、団体ごとの基準と手法で個別に行われてきた従来の外部精度管理を、公益社団法人日本医師会を中心に関係団体が相互に連携することで、標準化する取り組みも具体化しています。
臨床検査を信頼できるものにするために、医療機関や衛生検査所など、全国の検査施設では“内と外の両面”から万全の体制を整え、検査精度の維持と向上に努めています。